【ひとぱん工房 移転準備】3倍の広さへ!パン作りを支える新しい仲間(機械)を探しに!
いつも「ひとぱん工房」を応援していただき、ありがとうございます。店長のひとみです。
この度、ひとぱん工房は東松戸へ移転することになりました。新しいお店は、なんと今の約3倍の広さになります。それに伴い、よりたくさんのパンをお届けできるよう、そして私自身やスタッフが健やかに働けるよう、新しい製パン機械の導入を検討しています。
今回は、中古の製パン機材を扱う「エルファ」さんを訪ね、「モルダー」「リバースシーター」「デッキオーブン」といった、パン作りを力強くサポートしてくれる機械たちを見てきました。
それぞれの機械がどんな役割を持っているのか、そして新しいお店でどんなパンを焼いていきたいか、その想いと準備の様子をお伝えします。
【ご報告】ひとぱん工房、東松戸へ移転します!
いつも温かい応援、本当にありがとうございます!店長のひとみです。
突然のご報告になりますが、この度、私たち「ひとぱん工房」は新しい場所、東松戸へ移転することになりました!
現在の場所でパンを焼き始めてから、たくさんのお客様との出会いがありました。
お店に足を運んでくださる皆様、SNSで応援してくださる皆様、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
新しいお店は、今の工房と比べると約3倍の広さになる予定です。
「もっとたくさんの種類のパンを焼きたい!」「もっと多くのお客様に、焼きたてのパンを届けたい!」
そんな想いが日に日に強くなり、今回の移転を決意しました。
もちろん、広さが3倍になるということは、作るパンの量も増やしていく必要があります。
今の機材のままで、ただ労働時間を長くして対応することも、不可能ではありません。
例えば、夜中からパンを焼き始めれば、なんとか量はこなせるかもしれません。
でも、そういった無理な働き方ではなく、せっかく広い場所に移るのだから、必要な機材をきちんと揃え、体調を崩したりすることのない、健やかな労働時間でパン作りを続けられる環境を整えたい。それが私の強い想いです。
パン作りは大好きですが、無理をしてしまっては、美味しいパンも作れませんし、何より長く続けることができません。
そのために欠かせないのが、製パン機械の力なんです!
新しい仲間を探しに!中古製パン機材「エルファ」さんへ
先日、その頼もしい仲間となる製パン機械を探しに、埼玉県にある中古製パン機材の専門店「エルファ」さんに行ってきました!
新しい機械を導入するといっても、すべてを新品で揃えるのはなかなか大変…。
そこで、過去にもお世話になっている信頼できる中古機材屋さんにお願いすることにしました。
エルファさんは、たくさんの種類の製パン機械を取り扱っていて、私たちのような小さなパン屋さんから、大きな工場まで、様々なニーズに応えてくれる、とっても頼りになる存在です。
今回、特に注目したのは3つの機械。
「モルダー」「リバースシーター」「デッキオーブン」です。
パン屋さんにとっては馴染み深い機械ですが、お客様にとっては「それって何?」と思われるかもしれませんね。
一つずつ、どんな機械なのか、なぜ必要なのか、ご紹介させてください。
食パン作りの頼れる相棒!「モルダー」ってどんな機械?
まず見に行ったのが「モルダー」です。
…「モルダーって、あの海外ドラマの?」なんて冗談も出ましたが、もちろん違います(笑)!
製パン用語で「モルダー」というと、生地の形を整える(成形する)機械のことを指します。特に、食パンを作る際には欠かせない工程である「ガス抜き」と「丸め・巻き」を効率よく行ってくれる優れものなんです。
パン生地、特に食パンのようにふっくらと焼き上げたい生地には、発酵によってたくさんのガスが含まれています。このガスを均一に抜いてあげないと、焼き上がった時に大きな気泡(穴)ができてしまい、キメの粗いパンになってしまいます。
今までは、一つ一つの生地を手で優しく、でも確実に「バンバン!」と叩いてガスを抜いていました。
これが、想像以上に大変な作業なんです。愛情を込めて叩いてはいるのですが、数が増えると結構な重労働で…。特に、お店の規模が3倍になり、作る食パンの量が増えると、一日中バンバン叩き続けることになりかねません。そうなると、腱鞘炎になってしまう可能性だってあります。
そこで、たくさんの食パンをもう少し楽に、そして安定して作れるように、モルダーの導入を考えました。
モルダーがあれば、ローラーの間に生地を通すことで、均一にガスを抜きながら、綺麗に生地を巻いて成形してくれます。手作業よりもスピーディーで、安定した品質の食パンを作ることができるようになるんです。
モルダーは、構造が比較的シンプルだと聞いています。消耗品であるベルトなどをきちんと交換・メンテナンスすれば、中古でも十分に活躍してくれる機械だそうです。
冷蔵庫やオーブンのような、モーターや熱源の寿命が気になる機械を中古で選ぶのは少し慎重になりますが、モルダーに関しては、信頼できる中古を探して導入したいと考えています。これで、腱鞘炎の心配なく、美味しい食パンをたくさん作れるようになると嬉しいです!
均一な厚さに伸ばす魔法!「リバースシーター」とは?
次に見たのが「リバースシーター」。これもまた、パンやお菓子作りには欠かせない機械です。
簡単に言うと、生地を均一な厚さに、効率よく伸ばしてくれる機械です。生地をセットしてスイッチを押したり、ペダルを踏んだりすれば、設定した厚みに正確に、そして素早く生地を伸ばしてくれます。
皆さんが大好きなクロワッサンやデニッシュ。あの美しい層は、バターを生地で包んで、何度も何度も折り畳んで、薄く伸ばしていくことで生まれます。この「薄く伸ばす」作業、手作業(麺棒)でやろうとすると、本当に大変なんです!
均一な厚さに伸ばすのは至難の業ですし、時間もかかります。特にバターを折り込む生地は、バターが溶けないように手早く作業する必要があり、まさに時間との戦いです。
リバースシーターは、そんな大変な作業を助けてくれる、まさに魔法のような機械。クロワッサンやデニッシュだけでなく、パイ生地や、クッキー生地、キッシュの土台など、様々な生地を伸ばすのに大活躍します!麺棒で一生懸命伸ばしていた作業が、この機械があれば楽に、しかも正確にできるんです。手作業だとどうしても出てしまう厚みのムラも、リバースシーターなら解消できます。
リバースシーターにも、作業台の上に置けるコンパクトな「卓上型」と、床に設置する大きな「据え置き型」があります。新しい工房のスペースや、作りたいパンの種類や量に合わせて、どちらのタイプにするか、これからじっくり検討していきたいと思います。
オーブン選びは永遠のテーマ?「デッキオーブン」への想い
そして、パン屋にとって最も重要な機械の一つ、オーブン選びです。
ひとぱん工房では現在、「コンベクションオーブン」という種類のオーブンを使っています。これは、庫内のファンで熱風を循環させて焼き上げるタイプのオーブンです。
このコンベクションオーブンも、もちろん新しいお店に持っていく大切な相棒なのですが、それとは別に「デッキオーブン」の導入も真剣に検討しているんです。
コンベクションオーブンをもう一台増やす、という選択肢も考えました。でも、私が作りたいパン、目指したい焼き上がりを考えると、デッキオーブンの方がより合っているのではないかと感じています。
なぜなら、コンベクションオーブンとデッキオーブンでは、焼き方や得意なパンの種類が異なるからです。
コンベクションオーブンとデッキオーブンの違い
- コンベクションオーブン:
- 仕組み: ファンで熱風を庫内に循環させる。
- 特徴: 焼きムラが少なく、均一な焼き色がつきやすい。熱効率が良く、短時間でたくさん焼ける。乾燥焼きが得意。
- 得意なパン・お菓子: クロワッサン、デニッシュ、パイ、クッキー、メレンゲ、プリンなど、サクッと焼き上げたいものや、均一な火入れが求められるもの。
- メリット: 立ち上がりが早く、設定温度まですぐに温まる。焼き時間が比較的短い。比較的庫内温度が下がりやすく、工房の温度管理がしやすい。
- デメリット: 風の影響で生地が乾燥しやすい場合がある。ハード系のパン(フランスパンなど)のクラスト(皮)が厚くなりにくいことがある。
- デッキオーブン:
- 仕組み: 庫内の上下、または床(デッキ)に設置された熱源(石や鉄板など)からの輻射熱と伝導熱でじっくり焼き上げる。石窯に近い焼き方。
- 特徴: 遠赤外線効果で、パンの内部までしっかりと火を通し、しっとり、もっちりと焼き上がる。クラストはパリッと、クラム(中身)は水分を保った仕上がりに。
- 得意なパン: フランスパン、カンパーニュなどのハード系パン、食パンなど、じっくり火を通して風味豊かに仕上げたいパン。
- メリット: パン本来の風味や食感を引き出しやすい。特にハード系パンの焼き上がりが良い。冬場はオーブンの熱で工房が暖かいことも。
- デメリット: 立ち上がりが遅く、温まるまでに時間がかかる。熱がこもりやすく、工房内が暑くなりやすい(夏場は特にしっかりとした空調管理が必要)。コンベクションに比べると一度に焼ける量は少ない場合がある。
デッキオーブンは庫内の石などが熱を持ち、その熱でじっくり焼き上げるため、常に庫内が高温に保たれている状態になります。熱がこもりやすいので、工房の空調管理は重要なポイントです。夏場はしっかりとした換気や冷房が必要になりますね。
その点、熱風循環のコンベクションオーブンは比較的早く庫内温度が下がるため、温度管理はしやすいかもしれません。冬場はデッキオーブンの熱が暖房代わりになる、なんて話も聞きますが…(笑)。
ハード系のパンへのこだわり
私がデッキオーブンを導入したいと考える一番の理由は、やはりハード系のパンへの想いです。
今のコンベクションオーブンでも、もちろん美味しいパンは焼けます。特にツジ・キカイさんのコンベクションオーブンは性能が良く、まだまだ私が使いこなせていない機能もたくさんあります。試行錯誤を重ねて、例えばカンパーニュなどは、見た目も立派なものが焼けるようになってきました。
ただ、コンベクションオーブンの特性である「風」をコントロールしながらハード系のパンを焼くのは、とても気を遣う作業なんです。風が直接当たらないように工夫したり、生地を入れるタイミングをシビアに見極めたり…。常にオーブンの状態を気にしていなければなりません。
お店が忙しくなってくると、その細やかな調整が難しくなってしまう場面も出てくるかもしれません。
その点、デッキオーブンはその構造上、ハード系のパンを焼くのに適しており、より安定して、理想とする食感や風味を追求できるのではないかと考えています。もちろん、デッキオーブンにも使いこなすための技術や経験が必要ですが、新しい工房でぜひ挑戦してみたいことの一つなんです。
新店舗はオーブンの「二刀流」で!
ということで、新しい「ひとぱん工房」では、コンベクションオーブンとデッキオーブンの「二刀流」で、それぞれのパンやお菓子に最適な焼き方を選んでいきたいと考えています!
例えば、サクサクに仕上げたいクロワッサンやデニッシュ、クッキーなどはコンベクションオーブン。
じっくり火を通して風味を引き出したいハード系のパンや食パンはデッキオーブン。
というように、それぞれの得意分野を活かして使い分けていきたいです。もちろん、メロンパンのように、コンベクションオーブンの方が美味しく焼けるパンもありますので、そこは柔軟に、パンの種類ごとにベストな方法を選んでいきます。
それぞれのオーブンの良さを最大限に活かすことで、パンの種類ごとの美味しさを最大限に引き出したい。そして、お客様にもっともっと「美味しい!」と喜んでいただけるパンをお届けしたい。それが私の願いです。
新しい工房はスペースにも余裕があるので、この「二刀流」という、パン屋としてはちょっと贅沢な理想も叶えられそうです!
これからについて
今回は、移転準備の一環として、製パン機械を探しに行ったお話でした。
モルダー、リバースシーター、そしてオーブン。新しい仲間たちが加わることで、「ひとぱん工房」がどんな風に進化していくのか、私自身もとても楽しみにしています。
もちろん、機械を導入すればすぐに美味しいパンができるわけではありません。それぞれの機械の特性を理解し、使いこなしていくための日々の努力が大切です。でも、これらの機械が、より美味しいパンを作るための、そして私たちが健やかにパン作りを続けていくための、力強いサポート役になってくれると信じています。
新店舗の工事の進捗や、オープンに向けての準備の様子なども、これから少しずつ、このブログやSNS、そしてYouTube動画などを通じてお伝えしていけたらと思っています。どんなお店になるのか、どんなパンが並ぶのか、ぜひ楽しみにしていてくださいね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
これからも「ひとぱん工房」を、どうぞよろしくお願いいたします!