ひとみ店長の東京パン屋物語
こんにちは、ひとぱん工房のひとみ店長です。
今回は私が初めて東京に来た時のパン屋巡りの思い出話をお届けします。
東京パン食べ歩き!21歳の冒険
私が初めて東京に来たのは21歳の時でした。
出身は大阪で、当時は大阪のパン屋で正社員として働いていたのです。
その年の夏休みを利用して、東京でしか食べられないパンを求めて一人で東京へ向かいました。
なぜ東京に行きたかったかというと、当時はパンブームで、雑誌にもたくさんのパン屋さんが紹介されていましたが、有名なパン屋さんはほとんど東京に集中していたからです。
関西のパン屋さんは休みの日にほとんど訪れていたので、雑誌に掲載されている見たこともないようなパンを眺めながら「食べ歩くなら東京に行こう!」と決めていましたね。
東京への旅は、多忙なパン屋の中で年に唯一とれる連休を利用しなければならなかったです。
そのために、細かく計画を立て、「この駅で降りたらこのパン屋さんに行ける」といったルートを考えに考え抜きました。
当時はGoogleマップがなかったため、雑誌の地図やガラケーの地図を見ながら、方向音痴な私が頑張って目的のパン屋さんまで辿り着かなければなりません。
東京で出会ったパンの魅力
初めて東京に来たときは、1日で5件ほどのパン屋さんを巡ったのを覚えています。
大阪から夜行バスで来て、その日のうちに5件回って、またその日のうちに大阪に帰るという弾丸スケジュール。
若かったので、体力的にも弾丸で行けたのだと今は思います。
東京への憧れも相まってか、やはり大阪のパンと比べて、東京のパンは違いましたね。
具体的に言うと「おしゃれ感」や「高級感」が、関西とは全然違いました。
お店のレイアウトやパンのラッピングもおしゃれで、フランスの美味しいパン屋さんの酵母を空輸してその酵母を使ったパンを並べているお店もあり、まるでフランスのパン屋に来たような?(当時行ったことはなかったのですが。笑)感じで、日本人が輸入ものが好きな理由がなんとなくわかった気がしました。
そして、食べたことのない味、見たことのない形、にワクワク。
まるでパン研究家にでもなったような。そんな気分で東京めぐりをしたことを覚えています。
東京でのパン屋巡りの経験は、私にとって将来パン屋を開くにおいて、貴重な経験でした。
世田谷など、都内にはたくさんの有名なパン屋さんが集まっていて、その中で様々なパンの個性や魅力を発見することができ、またそれが「将来こんなパン屋さんをオープンしたいなぁ」といった夢にも繋がっていったと思います。
それぞれのパン屋さんで工夫された味や見た目、そして店舗の雰囲気など、東京のパン屋さんの独自性とクリエイティビティは大阪にはなかなかありませんでしたね。
大阪に帰ってきてからは、東京のパン屋さんで学んだ「おしゃれ」や「こだわり」を、自分の将来のお店にも反映させたい、という思いが強くなりました。
これからも進化し続けるお店
パンの味を左右する一番大きな要素は何でしょうか。
私はやはり小麦粉だと思います。
特にシンプルなパンほど、製法と小麦粉の品質がダイレクトに味に影響します。
日本のパンの代表格であるカレーパンやクリームパンの場合、カスタードや具材の味が美味しさを決定づけることが多いです。
そのため、パンの差別化が難しく、見た目で個性を出すことが重要になります。
以前、東京の恵比寿ガーデンプレースにある「ジュエル・ロブション」というパン屋さんを訪れた際、海外店舗では取り扱われていないだろう”ジャパニーズパン”「柔らかいクリームパン」がありました。
そのパンはフォカッチャのような形で、上からクリームが絞り入れられていました。
「こんなにおしゃれな形を思いつくなんてすごい!」初めてみるクリームパンに、感動したのを覚えています。

また、東京駅にある「ポワンエリーニュ」というパン屋さんも印象的でした。
雑誌でも度々取り上げられているお店で、店内のダクトが美術館のように芸術的でした。
そのダクトは、お店の熱気を逃す機能を持ちながら、モニュメントのような見た目でオシャレな雰囲気を演出していました。
パンの陳列も、ジュエリーショップに置かれている宝石のような感じで、大阪では見たことのないおしゃれなパン屋さんでした。

これらの東京のおしゃれなパン屋さんからは、パン作りにおいて見た目や店舗の雰囲気も重要であることを学びました。
そして、パン、店内の雰囲気、アイテム、プライスカード、スタッフのユニフォーム、などなど、一貫性が必要であることも大切であると。
現在のひとぱん工房は、正直まだまだ当時の私の理想には届いておらず、改善したい点をたくさん抱えたまま営業しています。
資金から人手などの要因で、なかなかすぐに完成させることは難しいですが、現状でたくさんのお客様にご来店いただいていることが奇跡だな。と常日頃感じています。
これからも、変わっていくひとぱん工房を応援していただけますと幸いです。