パン業界はブラック??
ひとみ店長:
アルバイトの方もね、だいぶ助かってるし、生産工程においては要というか、そこはありがたいですね。
夜中の作業が結構基盤になってて、パンが広がっていく感じがあるので。
そこがね、私一人に変わりないので、あまり(生産量は)増えないんですよ。
スタートの時の「よーい、ドン!」の個数がどうしても、私の手で決まっちゃってるから。
そこから枝分かれしていっても、どうしても作れる種類と数には限界がある。
ちょっとね(生産量は)大きくないんだけど、という状態が今のひとぱん工房ですね。
ジャム兄:
ひとみ店長が過去働いてた職場では、パン屋さんで働きたいです!とかっていう人は、やっぱりいた?
ひとみ店長:
いたいた。世の中には、「パンを学びたいです」っていう本気の人は当然いるんですよ。
ただ、たまたま出会えてないってことですよね。
私もそう自分に言い聞かせてるんですけど(笑)。
最初のパン屋さんは、私はそうじゃなかったなぁって振り返って思うんですよね。
ジャム兄:
家族経営のパン屋さんだっけ?
ひとみ店長:
飲食関係で働きたいなーっていう感じでしたね。
フレンチレストランを辞めた後、すぐに人材派遣の会社に登録して、どこで働いていいかわかんなくなっちゃって。
飲食関係が希望だったから、いろんな会社を見れたんです。
居酒屋さんとか、ホテルのレストランとか、いろんなところを覗けたんですよね。
ジャム兄:
それは実際に職場体験みたいなのに行ったってこと?
ひとみ店長:
いや、職場体験じゃなくてもうスポットで派遣なんで。
洗い場とか。1日だけ入ったりとか。
初めてインカムをつけて、洞窟のようなレストランで、一生懸命卓番探しながら料理運んだりとかしてましたね。
ジャム兄:
インカムってあれだよね?店内だけで使える無線みたいなやつだよね?
ひとみ店長:
そうそう。こんな道具で、こんな効率よく飲食店回してんだとか知ったりとかして。
どんなお店で働きたいのかなーって、10店舗ぐらい色々働きました。
それでも、2ヶ月ぐらいかなー。
でも、結局その中から決まらなくって。地元を自転車で走ってたらパン屋さんが出てきたんですよ。
ジャム兄:
新しく(ひとぱん工房に)入った女の子みたいな感じで?
ひとみ店長:
たまたま通ったところにパン屋さんがあって。
地元だったんで母親が美味しいパン屋さんがあって、たまに買ってきてて。
「どこにあるの?」って聞いたら、どこどこって言うんだけど、どこどこの近くに行っても、どうしても見つけられなくて。
まさに、うちみたいなお店ですよ。
隠れ家じゃなくて、隠れちゃってるパン屋さん(笑)
ほんとに探してないときに、ここだって出てきて、求人募集の紙、貼ってて。
なんとなく条件的に、飲食関係で働きたい、家から近くて、一人暮らししなくてもいい、母親が知ってるから親も安心する。
いろんな要素が重なって入ったっていうのが最初のきっかけだったんですよね。
パンがやりたくてみたいな、そんな熱い感じじゃないのが、スタートだったんですよね。
ジャム兄:
やりたいことって、スタートそんな感じだよね?
どうしても、この道で食っていくぞ!みたいな感じじゃなくて、興味があるかなぁーみたいなところが入りだったりするもんね?
ひとみ店長:
「パンが好きなので」みたいに絞っちゃうと、逆にもったいないかもしれないんですけれど、そこから面白さに目覚めて、次の店舗は、自分がもっとこんなパンを作りたいって思えたパンを販売しているパン屋さんに行ったんですよね。
ジャム兄:
2店舗目の勤め先?
ひとみ店長:
そう。別にね、1店舗目のパン屋さんのパンが全部作れるようになったとか、全然そんなこともないし。
コネ作業とか任せてもらえなかったんですよね。
お願いをしたけれども、女の子だからちょっとダメっていう感じで。
この世の中、そんな差別ある!?みたいな感じなんですけど。
すごい力仕事なんで、やっぱりしんどいですってなるのもね、お店的にはマイナスですし、それはそうだろうなっていうところもありますし。
すべて作ってもないくせに、私の作りたいパンはこれじゃなくて、2店舗目みたいなパンだって変わっちゃったんですよね。
ジャム兄:
その1店舗目は、大体何ヶ月くらいいたの?
ひとみ店長:
1年半くらいいたかな。
ジャム兄:
1年半は学んだんだ。
ひとみ店長:
1年半はいたね。先輩が半年で辞めちゃって。
ジャム兄:
先輩ってことは、ひとみ店長より先に入ってた人が、ひとみ店長が入った後、半年ぐらいで辞めちゃったんだ?
ひとみ店長:
そう、辞めちゃったの。なんかね、焼き場の仕事先輩がしてて。
ジャム兄:
焼きっていうのは、オーブンにパンを入れるってことだよね?
ひとみ店長:
そう。で、私はサンドイッチ担当でやってて。その先輩がね急に辞めちゃったんですよね。
ジャム兄:
その先輩は別のパン屋さんに行ったとか?
ひとみ店長:
その先輩は分からずですね。
銭湯に一緒に行ったり、仕事終わったら、二人でなんかマック行って帰ったりとか、すごい思い出はあるんですけれども。
怒られるのに、打たれ弱い先輩で。
厨房の中に入ると結構怒られる環境になるっていうか、新しいことなんで当たり前なんですけど。
それで、もう無理って泣き出して外出ちゃって、その日で辞めちゃったのかな。
ジャム兄:
そうなんだ急に?
ひとみ店長:
急にもうその日で。
ジャム兄:
お店としては大変だね。
ひとみ店長:
だから女の子には、やらせないみたいになったのかも。
パン屋を辞めにくい人の特徴
ジャム兄:
ひとみ店長が働いてきた職場を見て、辞めにくい人はどんな人なの?
ひとみ店長:
辞めにくい人は、洗脳されやすい人です。
ジャム兄:
洗脳されやすい人?(笑)
ひとみ店長:
なんか、ちょっと…言い方悪いな(笑)。悪徳宗教みたいな(笑)。
ジャム兄:
何か他に言い方あるかな?真面目みたいな?
ひとみ店長:
でも真面目すぎちゃダメなのね。
真面目すぎて心が弱いすぎると折れちゃうから、ある程度、度胸っていうのかな?勇気というか。
忍耐強さがあって、図太さがちょっとあって、真面目で。あんまり自己主張がない人。
ジャム兄:
オーナーに言われたことをイエスマンのようにやれるって感じ?
ひとみ店長:
うん、そうだね。なんかもう、だって疑問だらけの職場だと思うのね。
ジャム兄:
例えば?
ひとみ店長:
労働時間どう考えてもおかしいってこととか。
本当はダメなんだけど、飲食業界的には、ちょっとブラックな部分もある。
1日の休憩時間20分って、おかしいでしょ?とか(笑)
なんかツッコミどころいっぱいあるんだけれども、全然気にならないのね。
いや、だって教えてもらってるしとか。
それを真面目っていうのか分かんないんだけど、疑問を持たないじゃない?洗脳されていたら(笑)
シェフのことが好きでとか、お店のことが好きで。
ここの味を学ばせてもらってるんだから。
労働時間なんてあんま考えても仕方ないやみたいな。
お給料とかも、最低生活できるお金は必要だけれども、でも、自分が我慢すれば続けれるしとか。
真面目な人は自分が抜けると困るだろうなとか考えたりとか。
みんなね、体ボロボロになってはいくんだけれども、自分の体よりもお店のことを優先させちゃったりとかって長く続くんだよね。
なんかいい意味で長く続いてるわけじゃなくて、いや、なんて言うんだろうな。
ちょっと犠牲心があって、長く続いちゃってるっていう感じかな。
すごい楽しくて、やりたくて、まだ働きたいですみたいな人。
ちょっと、私はそういう環境で見たことがないっていうか。
みんな、どこか疲れてたり。やめたいけど、今やめれないじゃんとか。
私がやめたら他のスタッフに迷惑かかっちゃうじゃんとか。
ジャム兄:
なんか俺の質問した意図とは、違う答えが返ってきた(笑)
もっとパンのことが学びたいです!みたいな熱い人が残っていくのかなと思いきや。
そんなわけではなく、なんか洗脳されてる人が残ってるって感じだね。
ひとみ店長:
あーでも、実際、熱い思いで働いてましたね、私は。
なんか今の視点で見ちゃだめですね。
当時の自分は、次はこのポジションに行きたい。
そのために我慢して、我慢して。
大変だけど、しんどいけど。
それがね、もう働いてる理由ですからね。新しいことを学びたいっていうところ。
そう思ったら当時の自分は、学ぶために。
目的があるから、長く続いてましたね。
もっと学びたいって思ってる人が残ってるのは確か。
ジャム兄:
ちなみに、ひとぱん工房は、ブラックではないですよね?
ひとみ店長:
ブラックではないですね(笑)。
ジャム兄:
ひとみ店長がそういう経験をしてきたっていうところを反面教師にしつつ、労働基準守って。
ひとみ店長:
いやー、でもね、実際ホワイトで、本当お店潰れるかと思ったんですよね。
これは、まだ超えられてない課題って感じですね。
ジャム兄:
ホワイトすぎると、それはそれでお店にとっても全然利益出ない?
ひとみ店長:
ホワイトだと、全然利益出ないんで。社会保険があったりとか、残業だったら残業代を支払ったりとか、やってくと…人件費が一番高いですからね。
特に、まあ、飲食業なんて薄利多売で。
お客様に支えられてやってる業種だから、雨の日とか。
人件費変わらないけど売り上げ落ちちゃうってなると、どうしてもお店の方にしわ寄せが来ちゃう。
ここは難しい問題ですね。
ブラックで利益出るっていうのは、それはわかるんですよ。
ジャム兄:
法律的にはNGだけどね(笑)
ひとみ店長:
ここの法律っていうのも変わってきてる…
昔はもっと緩かったとかあると思うんですけども。
完全ホワイトで行った時に、利益が出る…出なくても成り立っていくっていうのって、飲食では結構難しいんじゃないか、難易度高いんだなって思って。
家族経営だったらね、いくら労働しても、まあ、家族だからみたいな。
晩ご飯に、おいしいパンでも食べるか?みたいな感じで成り立っちゃう。
フタ開けたら、結局ね、働いてる人の人件費出てないみたいなこととか。
そういうチート状態でそれは利益出るよねとか、全然あるので。
ホワイトで、残業代出るか、残業なくてっていうのって、なんかすっごい売り上げが高い会社だと思うんですよ、間違いなくね。
ひとみ店長:
私は、365日さんのパンすごい高いって感じたんですけど。
ジャム兄:
販売価格が高いってこと?
ひとみ店長:
販売価格が。でも、スタッフの数見たときに、ここ大丈夫なのかな?ってちょっと思いましたね。
ジャム兄:
要はスタッフが多いってことは、人件費がその分かかってるから。
ひとみ店長:
かかってますね。
ジャム兄:
しかも、代々木公園の近くだから、代々木八幡だっけ?駅近だったから、家賃も、テナント費もかかるし、人件費もかかるし。
ひとみ店長:
多分、パッと見アルバイトさんだと思うんですよ。
表に見えた人は、多分ですよ。
全員社員じゃないと思うんですけど、でも、相当利益を上げて、売り上げを上げてるから可能だけど。
本当に余裕があるっていう状態ではないんじゃないかなって、同じパン業界として感じました。