ロブロで広がるライ麦パンの世界!オーガニック100%が人気を集める理由
要約
ひとぱん工房で焼き始めたロブロ(ライ麦パン)が、想像以上に好評をいただいています。SNSやブログで取り上げてもらったことで、わざわざお店へ足を運んでくださる方も増えました。とはいえ、ライ麦100%のパンにはクセがあるイメージが強く、最初は手探りの連続。特に天然酵母の管理は試行錯誤が必要でした。それでも試行錯誤を重ね、お客様から「もう一度買いたい」「予約しておきたい」と言っていただけるほどの味に仕上げることができました。この記事では、オーガニックライ麦100%で作るロブロとの出会いや、天然酵母ならではの苦労、そしてわたし自身が試行錯誤を続けてきた日々について詳しくお伝えします。
ロブロとの最初の出会い
わたしがライ麦パンに興味を持ったきっかけは、北海道の小麦やライ麦を生産・販売する企業さんが主催する勉強会でした。オーガニックのライ麦畑を見学するツアーに参加し、そのときに「ロブロ」と呼ばれるライ麦100%のパンを初めて知ったんです。
実は、これまで修行してきたパン屋さんでは、ライ麦パンやライ麦100%のパンを本格的に扱ってはいませんでした。カンパーニュなどに少しライ麦を配合することはあっても、まるごとライ麦というパンは経験がなかったんです。でも、北海道の畑で見たライ麦の姿と、それを使った風土火水さんというパン屋さんが作るパンを試食して「こんな美味しいライ麦パンがあるんだ」と衝撃を受けました。
その後、勉強会で「ライ麦パンを日本にも広げていこう」という話を伺い、勢いでオーガニックのライ麦粉を購入。「せっかく粉を買ったんだから」と試作を重ねるうちに、「これってなかなか美味しいかも」と思えるパンができるようになっていったんです。
「パンめぐ」さんとの出会いと記事掲載
さらに嬉しいことに、「パンめぐ」というパン好きの方々に有名なサイトで活躍するライターさんが、わたしのSNS投稿を見つけてくださったんです。直接お店に足を運んでくださり、「ぜひ記事にしたい」とお声がけいただきました。しかも、ロブロに詳しい方がいるということで話がとんとん拍子に進み、「ひとぱん工房がライ麦100%のロブロを作っている」という情報をサイトに載せてもらうことに。
実際に「パンめぐ」の方が来店されたときは、「本も出すほどロブロに詳しい方がいる」と教えてもらい、正直びっくりしましたね。ライ麦100%のロブロは、日本ではまだそこまでメジャーな存在ではないと思っていましたから。ところが、「ライ麦100%でも意外と酸味が少なくて食べやすいですね!」と感想をいただき、その後の口コミやSNS拡散でさらに多くの方にロブロを知っていただく機会が増えました。
ライ麦100%のロブロが生まれるまで
ロブロとは、ドイツ発祥のライ麦パンのことです。ドイツでは日常的に食べられているほどポピュラーなパンですが、日本だと「酸っぱい」「ちょっとクセが強い」というイメージを持たれがち。そこでわたしは、酸味を抑えて甘みを引き出せるレシピを目指して研究しました。
ポイントは、「ライサワー種」と呼ばれるライ麦由来の酵母を使うこと。イーストではなく天然酵母の一種なので、発酵の管理が難しいのが本音です。ライサワー種は微生物の集まりで、温度や湿度によって発酵具合が日々変わります。ちょっと放置してしまうと元気がなくなったり、逆に元気すぎて生地が過発酵になってしまったり。その日の気候や酵母の状態を見極めながら、翌日にちょうどいい発酵状態に持っていく作業は、今でも試行錯誤の連続です。
試作を始めてから発売までは、およそ2ヶ月~3ヶ月ほどかかりました。最初は味に納得できなかったり、思うように膨らまなかったりで大変でしたが、「パンめぐ」のライターさんが来てくださる約束の日までに「これはお店に出せる」と思える仕上がりに持っていったんです。
こだわりの天然酵母管理
イーストを使う場合は粉に混ぜるだけなので管理が比較的ラクですが、天然酵母は「育てる」感覚に近いんです。週末だけの営業が中心のわたしのお店では、平日はどうしても酵母が休眠状態になりがち。そこで、「おーい、起きて!」と声をかけるように定期的に酵母に“餌”を与えて、元気を保ってもらう努力をしています。
とはいえ、なかなか毎回同じ発酵状態にならないのが難しいところ。酵母が十分に育っていないときは膨らみが甘くなるし、元気がありすぎると生地が酸っぱくなりがち。それでも、何度もトライしていくうちに、「このくらいの温度と時間なら明日の朝にちょうど膨らむかな」というカンが少しずつ身についてきました。
100%ライ麦パンの魅力
実際にロブロを店頭で販売して感じたのは、リピート率の高さです。わたし自身も、ライ麦パンって最初はちょっと食べにくいイメージがありました。それなのに、「一度食べてみたらハマった」「買って帰ってすぐ食べて、また買いに来ました」と言ってくださるお客様が続出しました。
さらに嬉しいのは、まとめ買いしてくださる方も増えていること。わざわざ「来週も4本予約します」といったご連絡をいただいたり、店内で完売してしまうと「じゃあ次回は必ず取り置きでお願いします」と言われることも。ライ麦100%というと敷居が高そうですが、「思ったより酸味がなくて、逆にほのかな甘みを感じる」という声をいただくことが多いです。
カンパーニュとの違いと焼き方の工夫

以前からうちではカンパーニュ(フランスの田舎風パン)も焼いていましたが、こちらはライ麦100%ではなく、小麦を多めに配合しています。カンパーニュのほうが香りはマイルドで、食べやすいと感じる方も多いと思います。
ただ、わたしの使っているオーブンがコンベクションオーブンなので、風が当たって部分的に焼きムラが出やすいのが悩みでした。蓋をして風を避けたり、生地の固さを調整したりしてようやく最近は安定して焼けるようになりました。「写真に残したいくらい、きれいに焼き上がった」と喜んだ日は、わたしの小さな成功体験ですね。
とはいえ、まだまだ試行錯誤の途中です。生地づくりの段階でゆるめに作ってあげると、ふっくらと甘みのある生地になるなど、手作業ならではの感覚を大切にしています。
お客様からの嬉しい声
- 「まさか自分がライ麦パンをリピートするとは思わなかった!」
- 「酸味が少なくて食べやすい。むしろほのかに甘みがある」
- 「翌日に食べても固くならず、トーストすると香ばしい」
お客様のこうした声が、わたし自身もロブロづくりを続ける原動力になっています。「はじめは他のパン屋さんでも買わないタイプのパンだったけど、食べてみてイメージが変わった」という声は本当に嬉しいです。
ロブロのこれから
わたし自身、まだまだライ麦パンの世界に踏み込んだばかり。ドイツでは日常の主食としても定着しているパンなので、もっと日本でも広がっていくポテンシャルを感じます。今後は東松戸のイベントなど、イベント販売の機会を増やして、より多くの方にロブロを知ってもらいたいと思っています。前回のイベントでは早々に完売してしまったので、次はもっと多めに持っていこうと計画中です。
また、ライ麦パンを通じて、オーガニックや自然食に興味を持っていただくきっかけになればとも願っています。体に優しい材料で、しっかり噛みしめるほど味わいが増すライ麦パン。毎日のごはんにぜひ取り入れていただけたら嬉しいですね。
まとめ
わたしは、ライ麦パンの世界はまだまだ奥が深いと感じています。100%オーガニックライ麦を使ったロブロは、酸味が強いイメージを持たれがちですが、作り方次第でほのかな甘みを楽しめるパンになります。天然酵母の管理や焼き方の工夫に少し手間はかかりますが、そのぶん「自分で育てている」という感覚が強く、うまくいったときの喜びは格別です。
実際に手に取ってくださったお客様の「おいしい」「また買いたい」という声を聞くたび、作り続けるモチベーションが高まっています。さらに、少しずつではありますが、ロブロやオーガニックライ麦に興味を持つ方が増えているのを肌で感じています。
もし、まだライ麦パンにチャレンジしたことのない方がいましたら、ぜひひとぱん工房のロブロをお試しください。焼き立ての香りと噛むほどに広がるライ麦の旨みは、きっと新しいパンの世界を開いてくれるはずです。