【ひとぱん工房】米粉パン復活!製菓用との違いと令和の米騒動による影響の裏側
- ひとぱん工房の米粉パンが一時的に製造できなくなっていた理由と、その背景について解説します。いつも使用していた熊本製粉のパン用米粉「ミズホチカラ」が、問屋さん経由で入手困難になってしまいました。
- 原因は、昨年の「米騒動」による米不足の影響で、農家さんが主食用米の生産にシフトしたためです。代替品の米粉ではパンが膨らまず、パン用米粉と一般的な料理用米粉の成分(アミロースとアミロペクチンの比率など)の決定的な違いを痛感しました。
- 現在は、インターネット通販(ECサイト)でミズホチカラの業務用20kgサイズを直接仕入れるルートを確保し、無事に製造を再開しています。
いつもの米粉が手に入らない!?突然のトラブル
実は以前のYoutubeでも少しお話しさせていただいたのですが、一時期、当店で大変ご好評をいただいている「米粉パン」が作れなくなってしまうという、ちょっとした事件が起きていました。
当店ではこれまで、熊本製粉さんが製造している「ミズホチカラ」という銘柄のパン用米粉を問屋さんから仕入れて、毎日の米粉パンを焼いていました。
ところが、ある日突然、問屋さんから「今までのミズホチカラが終売になるため、代替品の米粉を使ってほしい」というご連絡があったのです。
私たちはその言葉を信じ、送られてきた後継品のサンプルを使って、いつも通りに米粉パンの生地を仕込んで焼いてみました。
パンが膨らまない!代替品で痛感した米粉の難しさ
しかし、オーブンを開けてびっくり。パンが全く立ち上がらず、ペチャンコのままだったのです。
食感も風味も、私たちが目指しているものとは全く違う仕上がりになってしまいました。
「一体なぜこんなことに…?」と疑問に思い、送られてきた代替品について徹底的に調べてみました。
すると、衝撃の事実が判明したのです。問屋さんから「後継品」として渡された米粉は、そもそもパン用のミズホチカラとはまったく異なる成分の、料理用米粉でした。
パン用米粉「ミズホチカラ」の秘密
お米には「うるち米」や「もち米」といった種類があり、それぞれ「アミロース」と「アミロペクチン」というデンプンの比率が異なります。
パンをふっくらと焼き上げるためには、このデンプンの比率が非常に重要になります。
熊本製粉さんの「ミズホチカラ」は、もともと米粉パン専用の品種として開発されたお米を100%使用しています。
お米ならではの優しい甘みがありながら、パン作りに適した特別な品種なのです。
さらに、お米を粉にする「製粉」の過程でも、デンプンを傷つけないように独自の繊細な技術(デンプンたいせつ製法)が使われています。
農林水産省の基準でも「2番パン用」に分類され、小麦粉由来のグルテンや増粘剤などを添加しなくても、ふんわりしっとりとした米粉パンが焼けるように計算し尽くされた商品でした。
一方、代替品として送られてきた一般的な米粉は、成分も製粉方法も異なるため、私たちが作るこだわりのレシピでは、どうしても膨らむことができなかったのです。
グルテンフリー専用工場で作られる安心感
熊本製粉さんのミズホチカラのもう一つの大きな魅力は、その徹底した品質管理です。
実は、この米粉は「グルテンフリー認証」を取得しており、小麦、卵、乳、そば、落花生、えび、かに、くるみという8大アレルゲンの持ち込みを一切禁止した、アレルギー対応専用工場で製造されているんです。
そのため、小麦を控えたい方だけでなく、アレルギーをお持ちのご家族がいる方にも、心から安心してお選びいただける品質となっています。
さらに、このミズホチカラを使うと、お水をたっぷり含んだ「高加水」の生地を作ることができ、焼き上がりは耳(表皮)が薄く、中身は驚くほどもっちりとしたソフトな食感になります。
今回、改めて他の米粉と比較したことで、この「ふっくら・もっちり」を実現してくれるミズホチカラの偉大さを再認識させられました。
なぜミズホチカラが消えた?背景にある「令和の米騒動」
では、なぜ急に問屋さんでミズホチカラの取り扱いが終わってしまったのでしょうか。
その背景には、1年ほど前に世間を騒がせた「米騒動」が深く関わっていました。
2024年から2025年にかけて、日本全国で深刻な米不足が発生し、「令和の米騒動」という言葉が毎日のようにニュースで取り上げられましたよね。
近年は気候変動の影響で、異常な高温や少雨が続き、お米が白く濁ったり割れたりしてしまうなどの品質低下や不作が相次ぎました。
それに加えて、カメムシなどの害虫被害も増加し、お米の収穫量が全体的に減少してしまったのです。
その結果、スーパーからお米が消え、お米の買い取り価格は過去にないほど急騰しました。
こうした状況の中で、農家さんたちは苦渋の決断を迫られました。
市場で高値で取引される「主食用米」を優先して栽培するのは、農家さんの生活を守るためにも当然の流れだったと言えます。
結果として、米粉専用の品種であるミズホチカラの作付面積が減少し、生産量が落ち込んでしまったのだと考えられます。
卸売業者さんを通じて私たちの手元に届くはずだったお米が、流通の過程で確保できなくなってしまった裏側には、こういった気候変動や経済の波が複雑に絡み合っていたのです。
ネット通販で無事に確保!米粉パン復活の道のり
問屋さん経由での仕入れが絶望的となり、このままではお店から米粉パンが消えてしまう…と本当に焦りました。
しかし、色々なルートを必死に探した結果、インターネットのECサイトで熊本製粉さんから直接購入できることが分かりました。
問屋さんの流通には乗らなくなってしまいましたが、一般消費者向けのネットショップには、しっかりとミズホチカラの在庫があったのです。
ネット通販では、ご家庭用の使い切りサイズから、私たちがお店で使うような20kgの業務用サイズまで、幅広く販売されていました。
「これでまた、安心してパンが焼ける!」と胸をなでおろしました。
少し割高にはなってしまうものの、お店の味を守るためには背に腹は代えられません。
現在は、このネット通販を利用して20kgの業務用ミズホチカラを定期的に仕入れることで、安定して米粉パンを製造できる体制を取り戻しています。
これからも「ひとぱん工房」のこだわりをお届けします
一時的にお客様にはご心配をおかけしてしまいましたが、無事に米粉パンをお届けできるようになり、スタッフ一同ホッとしています。
私たちひとぱん工房では、皆様に安心してお召し上がりいただけるよう、材料選びにはとことんこだわっています。
今回の騒動を通じて、改めて「ミズホチカラ」というパン用米粉の素晴らしさと、その安定供給を支えてくださるメーカーさんや農家さんの存在の大きさを実感しました。
これからも、状況の変化に柔軟に対応しながら、皆様の食卓に安心して並べていただけるような、こだわりのパンを毎日焼き続けていきます。
店頭には、無事に復活を遂げたふんわりモチモチの米粉パンが並んでおりますので、ぜひお手に取ってみてくださいね!
皆様のご来店を、心よりお待ちしております。






