神楽坂の人気パン屋さん「ダコー?」へ!話題のパンの秘密を探る
先日、話題のパン屋さん『DACO(ダコー)』の神楽坂店に行ってきました!以前、九州の『Dacomecca(ダコメッカ)』さんにはお邪魔したことがあったのですが、その系列店が東京にも進出していると聞き、パン職人として、そして一人のパン好きとして、これは行かねば!と足を運んだ次第です。
今回は、その『DACO』さんで実際にパンをいただいて感じたこと、人気の秘密、そして私たち「ひとぱん工房」にも活かせそうなヒントなどを、主婦目線、そしてパン屋目線でレポートしたいと思います。おしゃれな店内でいただいた「ブリワッサン」や「練乳バターサンド ピスタチオ味」の感想から、パンの価格や二次加工について考えたことまで、たっぷりお伝えしますね!
神楽坂のおしゃれパン屋さん『DACO(ダコー)』へ!

今回訪れたのは、東京・神楽坂にある『DACO(ダコー)』さん。こちらは、福岡で大人気の『AMAM DACOTAN』さんの姉妹店にあたります。以前、九州旅行の際に本店にもお邪魔して、その独創的なパンとお店の世界観にすっかり魅了されたのですが、ついに東京にも!ということで、期待に胸を膨らませて行ってきました。
お店のロゴは「DACO」と書かれていて、シンプルながらも印象的です。どこか問いかけるような、興味をそそる響きがありますね。神楽坂のお店は、東京に進出されたいくつかのお店のうちの一つだそうです。
店内に入ると、本当におしゃれな空間が広がっていました。パン屋さんというと、温かみのあるナチュラルな雰囲気をイメージされる方も多いかもしれませんが、『DACO』さんは、どこかアンティークな雑貨屋さんのような、独特の世界観があります。これは『AMAM DACOTAN』さんとも共通する魅力ですね。
私が訪れたのは平日の夕方、PM4時頃。人気店なので行列を覚悟していたのですが、思っていた以上にスムーズに入店できました!もちろん、店内にはたくさんのお客さんがいらっしゃって、パンを選んだり、カフェスペースでくつろいだりしていましたよ。夕方の時間帯だったこともあり、並ばずに入れたのはラッキーでした。時間帯によっては、やはり行列ができることもあるようです。
実食レポ①:贅沢生地の「ブリワッサン」
さて、いよいよパン選び!魅力的なパンがたくさん並んでいて、目移りしてしまいます。まず手に取ったのは、「ブリワッサン」。
見た目はクロワッサンのような形ですが、名前からして、ブリオッシュ生地を使っているのが特徴のようです。表面にはアイシング(グラス)がかかっていて、キラキラしています。これは美味しそう!と、早速いただくことにしました。
一口かじると、サクッというよりは、ふんわり、しっとりとした食感。どうやら、バターを折り込んで層を作る通常のクロワッサン生地とは違い、卵やバターをたっぷり使ったリッチなブリオッシュ生地を折り込んでいるようです。これはめちゃくちゃ贅沢な生地ですね!断面も、普通のクロワッサンより黄色みがかって見えます。卵がたくさん入っている証拠でしょうか。
上にアイシングがかかっているので、すごく甘いのかな?と思いきや、意外にも甘さは控えめでした。生地自体の風味やバターのコクがしっかりと感じられます。お砂糖や生クリームなども使われているとは思いますが、中にクリームなどが入っているわけではないので、シンプルな味わいに仕上がっています。ブリオッシュ特有の卵の風味はありつつも、バターのしつこさはなく、とても食べやすいです。
表面のアイシングが少しポロポロと落ちてしまうのがもったいないくらい(笑)。生地は本当にふわふわで、口どけも良いです。美味しい!甘すぎないので、おやつとしてはもちろん、軽い朝食などにも良さそうです。「贅沢だけど、どこか素朴さも感じる」、そんな不思議な魅力のあるパンでした。これは新しい発見!
実食レポ②:気になる「練乳バターサンド ピスタチオ味」
続いていただいたのは、「練乳バターサンド ピスタチオ味」。
実は、私の店「ひとぱん工房」でも「ミルキーバター」という、練乳とバターを合わせたクリームを挟んだパンが人気なんです。それは、練乳とバターを混ぜてペースト状にし、パンに挟むシンプルなもの。バターも練乳も口どけが良いので、甘くてコクがあって、なめらかなクリームが特徴です。なので、他のパン屋さんの練乳バター系の商品はつい気になってしまいます。『DACO』さんのは、さらにピスタチオ味ということで、期待が高まります!
パン生地は、小ぶりで可愛らしい四角い形。持った感じも、とてもソフトでふわふわしています。水分量が多そうな、いわゆる高加水生地でしょうか。この形のパンは、以前訪れた博多の『ダコメッカ』さんでも見かけた気がします。専用の型で焼いているんですね。
さて、お味は…?クリームは、バターがたっぷり使われているのがよくわかります。口に入れると、すーっと溶けていくようななめらかな口どけ。練乳の優しい甘さとバターのコクが広がります。夏場だったら溶けてしまいそうなほど、繊細なクリームです。ただ…その時、私がお腹いっぱいだったせいもあるかもしれませんが(笑)、期待していたピスタチオの風味は、正直あまり感じられませんでした。クリームの色は確かに、ほんのり薄緑がかっているのですが…。
練乳の味、つまり乳の味というのは、実はとても強いんですよね。その風味に負けないくらいピスタチオ感を出すには、結構な量のピスタチオペーストを入れないといけないのかもしれません。
そして、パン作りをする上で悩ましいのが、原材料の価格です。
特にピスタチオは近年、価格が非常に高騰しています。天候不順による不作や、世界的な需要の高まりが原因と言われていますね。ドバイチョコレートなども話題になりましたが、ピスタチオを使ったスイーツは根強い人気があります。私たちパン屋にとっても魅力的な食材ですが、原価を考えると、なかなか手が出しづらいのが正直なところ…。
もちろん、もっとたくさんピスタチオペーストを使えば、風味はぐっと増すはず。でも、そうするとパンの値段も上げざるを得なくなってしまいます。美味しさと価格のバランスを取るのは、本当に難しいところ。『DACO』さんも、そのギリギリのラインで商品開発をされているのかもしれませんね。私たちパン屋にとっては、永遠の課題です…。
とはいえ、練乳バターサンドとしては、バターリッチで口どけの良い、とても美味しいパンでした!
『DACO』さんの魅力とは?~商品開発力と二次加工~

今回『DACO』さんを訪れて改めて感じたのは、その圧倒的な商品開発力と、種類の豊富さです。
今回、勇気がなくて手が出せなかったのですが、「カマンベールチーズとチョコレートクリーム」を合わせたものなど、「えっ、どんな味なんだろう!?」と興味をそそられる、独創的な組み合わせのパンがたくさんありました。定番のパンだけでなく、常に新しい味や組み合わせにチャレンジされている姿勢がうかがえます。本当に商品開発を頑張っていらっしゃるな、と感じました。
そして、もう一つの大きな特徴が、「二次加工」を施したパンが多いこと。
「二次加工」というのは、パンを焼いた後に、クリームを注入したり、具材をサンドしたり、デコレーションしたりすること。『ダコメッカ』さんに行った時も感じたのですが、『DACO』さんも、この二次加工を施したパンの種類が非常に多い印象です。
例えば、シンプルなパン生地をベースにして、挟むクリームやトッピングを変えることで、驚くほどたくさんの種類のパンを生み出しているんです。あるパン生地を、挟むものを変えるだけで5種類くらいのバリエーションに展開している、といった具合です。焼いた後の二次加工で、いかに種類を増やすか、という点に力を入れているのかもしれません。
これは、パン屋から見ると、非常に手間のかかる作業です。焼きたてをそのまま売る「焼きっぱなし」のパンと比べると、冷ます時間も必要ですし、一つ一つ手作業で仕上げていく工程が増えます。手間がかかっていると言えば、間違いなくかかっています。
例えば、以前訪れた麹町の『No.4』さんは、比較的焼きっぱなしのパンや、お菓子のように焼いたまま提供する商品が多い印象でした。どちらが良い悪いではなく、お店のコンセプトの違いですね。
最近は、韓国のパン屋さんなどでも、こうした「二次加工」を施した、見た目にも華やかなパンが人気を集めているように感じます。クロワッサンにたっぷりのクリームを挟んだり、焼いたパンに何かをトッピングしたり、塩バターパンをわざと潰してたい焼きのようにしたり…。そういった加工が、今のトレンドなのかもしれません。
『DACO』さんや『AMAM DACOTAN』さんがこれほどまでに人気を集めている理由の一つは、この「二次加工」による独自性や見た目のインパクトにあるのかもしれません。他にないという意味で、個性的で珍しいパンが生まれます。今、この系列のお店はすごく勢いがありますよね。
フルーツがこぼれんばかりに乗っていたり、意外な組み合わせだったり。「これは一体どんな味がするんだろう?」「わー、美味しそう!」と、見ただけでワクワクするような、エンターテイメント性があるんですよね。それが、多くのお客さんを惹きつける魅力になっているのだと、今回改めて感じました。
東京のパン屋さん事情と、「ひとぱん工房」へのヒント

今回、『DACO』さんでパンをいただいて、もう一つ考えさせられたのが「価格」についてです。
「やっぱり東京価格だな」と言ってしまうとそれまでですが、麹町の『No.4』さんにしても、今回の『DACO』さんにしても、東京で、この土地でパン屋を営むとなると、やはり価格設定は高めになる傾向があります。テナント費(家賃)も高いですし、人件費も、そして食材費もかかります。そのためか、比較的小さなパンでも、200円台後半から350円くらいするものが多かった印象です。
でも、驚いたのは、それでもお客さんがひっきりなしに訪れていること。
「高くても、本当に美味しいもの、魅力的なものにはお金を払いたい」という需要が、確かにあるのだと実感しました。それは、私たちのような小さな町のパン屋にとっても、大きな励みになります。少しでも美味しいパンを食べたい、というお客様の気持ちに応えていきたいですね。
今回『DACO』さんを訪れて、たくさんの刺激を受けました。特に「二次加工」の可能性については、自分の店「ひとぱん工房」でも何か活かせないかと考えています。
もちろん、『DACO』さんのように多種多様な二次加工パンを揃えるのは、うちのような小さなお店では難しいかもしれません。でも、例えば、定番のパンに季節のフルーツやクリームをプラスしてアレンジしたり、少し変わった組み合わせのサンドイッチを提供したり…。ちょっとした工夫で、お客様に新しい発見やワクワク感を提供できるのではないかと感じました。
また、見た目の魅力も大切ですね。必ずしも派手にする必要はないけれど、「美味しそう!」「食べてみたい!」と思っていただけるような、シズル感やストーリー性を意識したパン作りや見せ方を工夫していきたいです。
まとめ:美味しいパンは、人を幸せにする!

今回は、神楽坂の人気パン屋さん『DACO(ダコー)』さんの訪問レポートをお届けしました。
贅沢な生地がたまらない「ブリワッサン」、バターリッチな「練乳バターサンド」(ピスタチオ感は今後の課題!?)、そして独創的で見た目にも楽しいパンの数々…。『DACO』さんのパン作りへの情熱と、お客さんを惹きつける魅力を肌で感じることができました。
価格や二次加工の手間など、パン屋ならではの視点で考えさせられることも多かったですが、何より「美味しいパンは人を幸せにする力がある」ということを再確認できた、貴重な体験でした。
『DACO』さんのような人気店の魅力に触れると、私たち「ひとぱん工房」も、もっともっとお客様に喜んでいただけるパンを作りたい!という気持ちが湧いてきます。
皆さんも、神楽坂にお立ち寄りの際は、ぜひ『DACO』さんの独創的なパンの世界を体験してみてはいかがでしょうか?きっと、お気に入りのパンが見つかるはずです。
そして、もし市川にお越しの際は、ぜひ「ひとぱん工房」にも遊びに来てくださいね!心を込めて焼いたパンをご用意して、お待ちしております♪