相次いで閉店する高級食パン専門店を現役パン屋店長が考察してみた

hitopan

千葉県で閉店するパン屋産が何店舗かあるみたいですね。

ブームだと思っていた「高級食パン系のお店」の閉店が多いように感じました。
普通のパン屋さんもありましたが。
今月だけ、たまたま多かっただけなのでしょうか?
同じパン屋として、複雑な気持ちです。
やはり流行り廃りで厳しい状況なのでしょうか。

現役のパン屋さんから見て高級食パンはどう思いますか?

私的にはとてもいいビジネスモデルだと考えています。
理由は以下の6点です。

① 食パンがパン屋さんで一番売れやすい商品であること
② 専門店のメリットである、スタッフのオペレーションが簡易であること
③ 最低限の食材しか必要とならず、在庫の管理、保存スペースが必要ないこと
④ 技術的に難しい成形が不要で、バイトでも製造しやすい、職人が不要であること
⑤ パン製造で使う道具の掃除や、原価計算、プライスカード管理、POSレジの更新、などなど仕事が簡易的になる
⑥ 機械が最低限でいいので、初期費用も安く、店舗面積も小さくていいので家賃も安くなりやすい


上記の理由を挙げただけでも、食パンのみ製造する専門店にメリットがあることがわかると思います。
利益が出しやすく、働く人にも優しい。
デメリットは、食パン以外のバラエティパンを楽しみたいお客様、高級感を求めていない消費者は、購入につながりにくいというところでしょうか。
価格が高いというだけで、期待も上がってしまいますからね。
そうでもなかった、と思われたら、リピートは難しいかもしれません。

高級食パンの原価は安いか高いか?

ここで「美味しい高級食パン15選」というランキングサイトにて、高級食パン専門店15店の食パンの原材料などを調べ、実際原価は高いのか、安いのかを証しました。

結論としては(あくまでも予想ですが)原価はそれほど高くない。というのが私の答えです。
一応「粉の価格によって、大きく変わってくる」と付け加えさせていただきます。

調べたうちのほとんどの高級食パンには、輸入小麦(特にカナダ産)・砂糖・バター・生クリーム・蜂蜜が入っていることが特徴であるということがわかりました。

15店のうち、国産小麦使用とわかるのは2店舗だけでした。
残りの13店舗は、輸入小麦とうち2店舗は不明です。
そして、ほとんどの店舗が小麦粉の原産国を隠して紹介していることに気がつきました。

「自社オリジナルブレンド」「超製粉小麦」「特別な方法で製粉された小麦粉」「口の中で程よく溶けていくような食感を実現する配合の小麦粉」「世界中から選び抜いた小麦粉」「小麦粉(国内製造)←実際はカナダ産」など。

カナダ産小麦やアメリカ産小麦、オーストラリア産小麦など、とてもボリュームが出るし、おいしさ、良さもあります。
堂々と紹介しない理由は「企業秘密」かもしれませんし、何か他に理由があるかもしれません。
輸入小麦は国産に比べて安価であることが多いので、高級と謳うのに安価だと思われては困るからでしょうか?

ひとぱん工房で高級食パン専門店を再現したら、どうなるのか?

ひとぱん工房の国産小麦100%で、砂糖たっぷり、バターたっぷり、生クリームもたっぷりの、しっとりふわふわの食パンを作った場合の原価を出しました。

ひとぱん高級食パン 2斤の原価「322円」となりました。

飲食業界では、一般的に原価率は30%までに抑えれば、利益が出ると言われています。
なので、販売するとしたら1000円くらいでしょうかね(笑)

高級食パン専門店さんが使用している輸入小麦が、もしも国産小麦と同じ価格だとしたら、販売価格が700円〜1000円なので、原価は適切だというのが結論です。

しかし、約18年パン業界に携わる私の予想では、粉の価格はかなり安いのではないかと思います。
その理由は、高級食パン専門店がどこも大きく推すポイントは、バターや生クリーム、水、砂糖についてばかり。
(パンのほとんどを占めるのは小麦と水なので、そこを一番こだわってもいいと思うのですが…。)

バターや乳を主役にしているパンは、小麦の香りや味わいは消えてしまうので、粉にこだわってもあまり意味がありません。
つまり粉の良さを感じてもらうには、極力他の材料(特に砂糖と油)を控える必要があります。
食品の原材料の表記は、その食品に含まれている食材の中で多いものから順番に記載するルールがあります。
小麦の次は「砂糖」と表記しているところは多く、かなりの量配合していると思われます。
甘い食パンも、また粉の味わいを減らします。

私の見た限りですと前述した通り、高級食パン専門店は粉の香りや味わいを消しているパンが非常に多いので、高価な粉ではなく、よりタンパク質が強力な超強力粉であればいいのではないかと考えてしまいます。
その機能を果たす安価な輸入小麦はいっぱいあります。
私が経営者ならば、そのように考えますね。

高級食パン専門店の閉店理由を考察する

普通のパン屋さんよりも利益の出しやすいはずの高級食パン専門店が閉店するということは、輸入小麦の高騰で原価率が計算通りにいかなくなってしまったということ?

それは多いにあると思います。
加えて、私は複数の原因が重なっているのではないかと思います。
価格が上がっているのは、小麦だけではありません。
バターや生クリームは大した打撃はないのですが、光熱費、人件費も上がっています。
昇給などしなければ人件費はコントロールできるかもしれませんが、光熱費は凄まじい上がり方です。(記事執筆現在)

消費者も同じく光熱費や食材費高騰の影響を受けていますので、お財布の紐が硬くなる方が増えていてもおかしくありません。
「高級食パンは贅沢なもの」として買い控えが起きているのかもしれません。
お土産としての役割が大きく占めていたようですので、コロナ禍で人と会うことを控える方が多い今、それもまた影響しているのかもしれません。

作ったものが完売すればいいですが、売れ残りが増えてくると、なかなか厳しいかもしれませんね。
また先に参照したサイトの15店のうち、4店舗はとある有名な「高級食パン店プロデューサー」のお店です。
儲け話に乗ったオーナーが、高いコンサル料を支払い開業したとも考えてしまいます。(あくまで店長の妄想)

私のように普通にパン屋を開業したパターンではない特殊な出費があるということですね。
また、儲けるために始めたビジネスなのだとしたら、雲行きが怪しくなったので閉める判断も早いのかもしれません。(あくまで店長の妄想)
雇われたパン職人によって、もしかしたら柔軟な工夫で乗り切れる可能性もあるのかもしれませんが、損切りするかどうかはオーナー次第ですからね。
閉店が相次ぐということは「儲からない」「続けられない」とオーナーが判断したと考えてもいいと思いますね。

ここまで読んでくださりありがとうございました!

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ひとぱん工房の冷凍便

オンラインショップでは、店舗でしか味わえなかった手作りパンを「冷凍」でお届けいたします。
冷凍だからこそ、風味を極力逃さずに遠方の方でも焼きたてのような味わいをそのままにお楽しみいただけます。
お好きな時にオーブンやトースターで温めれば、国産小麦が香るふんわり食感をお家で再現可能です。

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国産小麦100%のパン屋
国産小麦100%にこだわり、熊本と北海道から厳選した小麦を使用する「ひとぱん工房」は、毎週土曜と日曜日のみオープンする手作りパンのお店です。東京や大阪の有名店で10年以上修行を積んだ女性店長が、香り高い素材を引き立てるこだわりの製法で丁寧に焼き上げています。砂糖はミネラル豊富な鹿児島県産の粗糖、塩には沖縄県産のシママースを使用し、素材の旨みを最大限に引き出したパンをお届けします。小麦の豊かな風味とふんわりとした食感が特徴で、どれも素材本来の味わいを存分に感じられると思います。
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