安心・安全なパンを作ろうと思ったきっかけ
パンを作ろうと思ったきっかけ
ひとみ店長が安心安全のパンを作ろうと思った、最初のきっかけみたいなのは何だったんですか?
お店をしたいと思ったタイミングは20歳の時だったんですけど、
その時は「すごい美味しいパン」「お客様が感動するようなパン」を並べた素敵なパン屋さんをしたい!という感じでした。その時はまだ。
地元の大阪から東京に出てきて、社会人同士、沢山の人に出会っていく中で、
色々な起業家とか、フリーランスで仕事している人にもご縁がありまして、それはそれはとても良い影響を受けたんです。
あるとき、自分の商品または今後開業に向けて主力となる商品を持ち寄って紹介し合う集まりに参加したんです。
ほとんど女性で、持ち寄るものは「食べ物」ばかりだったと思います。
材料を持ってきて、そのレンタルスペースのキッチンで作ったりしながら仕事終わりの19時頃とかに、ご飯会のような感じで食べ合いました。
私はもちろんパンを提供しました。
今思うとすごく面白いですね。
その主催者の意図としては外資系の分散投資を勧めたかったのだとは思うんですが。笑
お金を稼いで、夢を叶えましょう、みたいな。
とりあえずそれは置いといて。
その中に、運命の出会いがあったんです。
子供が卵、乳アレルギーでそれら抜きの料理を作らなければいけない状況になったママさんです。
アレルギーのお子さんを持つママとの出会い
卵も牛乳もダメって事?それ大変だね。
そうなんです。
私の周りにアレルギーで苦しんでいるという人がたまたまいなくて。
食べれないので工夫して美味しいものを作るという世界に初めて出会いました。
そして、アレルギー体質の人(特に子供)が世の中に多い事も知りました。
和食ならまだマシかもですが、洋食文化も浸透している昨今。
卵も乳も使えないって、結構献立としては制限されます。
そのママさんは強制的にその環境に強いられ、必死に勉強してアレルギー食品を使わないけど使っているように見せて美味しく作るというポジティブな発想で料理開発をしていました。
料理教室を自営されていたと思います。
作ってくださった料理が、本当に美味しかったんです!
卵を使わないスパニッシュオムレツに人参ケーキ。
使ってないと言われないとわからない。すごい工夫です。
そして、体が喜ぶ感覚がありました。これは衝撃でした。
どのように工夫しているのかをママさんにいろいろ聞きました。
どんな材料、調味料をどの基準で選んでいるのかなども。
惜しみなく教えていただきました。
そしてその時に私はあまり興味も意識もしていなかった「体は食べているものでできている」ということを実感したのです。
卵も乳も食べれなくても、お母さんがこんな美味しいご飯を作ってくれたら、子供は幸せだろうなぁと思いました。
私の中でパラダイムシフトが起こった瞬間
それから、世界が大きく変わった感じで、私は普段食べている自分の食事を振り返るようにしました。
自分が作っているパンも、振り返りました。
その当時、工場生産と個人店生産の間くらいの規模の大手パン業界に勤めていまして、ただパン作りの技術にフォーカスしていたのですが、食材にもフォーカスするようになりました。
パンは素材の美味しさを活かすならハード系ですが、
「柔らかくて甘いパン」が主流の日本では、素材の味など感じなくても美味しく作れてしまいます。
いろいろ複雑に原材料が入っていても、食べた人は原材料それぞれには気づかないでしょう。
小麦の味?わからないけど…ウインナーとマヨネーズが美味しいよね!っといった具合ですね(笑)
そのような経緯があって、国産小麦と外国産小麦の違いに気づくことができたのです。
美味しさも違うし、安全性も違うってことを自分で調べ始め、勉強しました。
そして、自分のお店で出すパンは…。
ひとぱん工房に在籍していたパテシエさんとのやりとりの話なんですが。
西洋お菓子って、バターとかバニラ・香料ですね、あとリキュール、アルコールの深み、旨みをよく使います。
でないと美味しくならないし個性もない。
たっぷりのバター、たっぷりのチョコレートの甘味、人気のマカロンなんかは色も大事なので着色料もすごいです。
あらゆるレシピの中で、「ひとぱん工房の粗糖は、これだけでうまいもんな」と言っていたんです。
あらゆる美味しくする工夫を知っているパテシエさんが「国産小粉と粗糖さえあれば、それだけで美味しい」と。
なので、あえてシンプルな粉の良さを活かすレシピに変更してくれていました。
粗糖とは?何?

精製工程を抑えた茶色い砂糖のことで、雑味があるのですがミネラルや栄養素も残っていて美味しいんです。
パテシエさんと話をして、改めて素材の力ってすごいなって思ったんですよね。
世の中に溢れる加工された砂糖の入っているものは、ほぼ精製された白い砂糖でできていると思います。
無機質で、雑味もない、深みもない、ただ甘さを加える調味料です。
だから粗糖のような素材のエネルギーを感じた時に、敏感なお客様は感じとられるでしょう。
国産小麦そのものもとっても美味しいですが、粉と同じくらい塩、砂糖の働きが重要です。
その名脇役のサポートがあるからこそ、国産小麦の美味しさを感じやすくさせてくれています。
これから、ひとぱん工房がやっていくこと
このことに気づいたお客様がリピートしてくださったり、誰かに伝えてくれたり、友達を連れてきてくれたり。
ひとぱん工房は市川のあの場所で愛されています。
本当にありがとうございます。
以前は、油とか砂糖とかミルクフレーバー増粘剤のとろみなどなど…美味しくなる要素を抜いたらまずくなるっていう認識を正直持っていました。(今は違います)
大量生産ではできないこだわりの素材、シンプルさ、想いを込めること、エネルギーを乗せること、知恵、工夫、食べてもらう人への愛する願い…
その要素が、既成概念をぶち壊して驚くほど美味しい!そして癒される!パワーになる食べ物になるんです。
それを体験した私が、自信をもってこれからも証明していきます。