【新店舗準備】中古製パン機械を見に行ってきた!選び方のポイントもご紹介

hitopan

今回は、新店舗に向けて、中古の製パン機械屋さんへ機材を見学に行った時のお話をします。パン作りには欠かせない機械たち。どんな機械があって、選ぶときにはどんな点に注目したら良いのか、私の経験を交えながらご紹介していきますね。

特に、これからパン屋さんを開業しようと考えている方や、厨房のレイアウトに悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。女性のパン職人さんにも役立つ情報があるかもしれません!

新店舗に向けて!中古製パン機械探しの旅へ

新店舗のオープンに向けて、着々と準備を進めている今日この頃。パン屋にとって、機械選びはとっても重要なポイントです。限られたスペースを有効活用しつつ、作業効率を上げて、美味しいパンをたくさん作るためには、どんな機械を選ぶかが鍵になります。

そこで先日、中古の製パン機械を専門に扱っている業者さん(株式会社エルファ)のところへ、実際に見学に行ってきました。新品の機械は魅力的ですが、予算も限られていますし、中古でも質の良いものがたくさんあるんですよ。

今回は、その時の様子を少しご紹介しながら、パン屋さんの代表的な機械と、選ぶ際のポイントについてお話ししたいと思います。

リバースシーター:生地を均一に伸ばす優れもの

まず見学したのは「リバースシーター」です。これは、クロワッサンやデニッシュ、パイ生地など、折り込み生地を作る際に大活躍する機械。生地をローラーに通して、均一な厚さに伸ばしてくれます。

リバースシーターを選ぶ上で私が重視したのは、ローラーの開く幅コンパクトさです。

ローラーの開く幅が広いほど、一度に伸ばせる生地の厚みの調整範囲が広がります。昔の機種だと8mmくらいまでしか開かないものもあるようですが、できれば15mmくらいまで開くものが良いとアドバイスをいただきました。

そして、何よりもサイズ感。うちの工房は決して広くないので、使わない時にコンパクトに収納できるか、移動しやすいかは重要なポイントです。理想は、スリムで、キャスターが付いていてガラガラと移動できるようなタイプですね。

業者さんによると、リバースシーターは「鎌田機械」というメーカーのものが中古市場では比較的よく出てくるそうです。

また、毎回しまうのが手間であれば、作業スペースの端の方に開きっぱなしで置いて、その上で他の作業もするという使い方もあるようです。確かに、大きな生地を扱う時はそれなりのスペースが必要になりますから、作業動線を考えて配置するのが大切ですね。

見せていただいた中古のリバースシーターは、驚くほどキレイでした!

「きれい。中古とは思えない!」と私が言うと、業者さんは、
「これはパートの女性が全部一人で仕上げているんです。女性なんで、ほんと細かいところまでやってくれるんですよ。新品みたいだね、ってよく言われます。」
と教えてくれました。

その言葉通り、まるで新品のような輝きでした。中古機械でも、きちんとメンテナンスされていれば、全く問題なく使えるんですね。特にパイローラー(リバースシーター)やモルダーは、骨組みまでバラして清掃・整備するため、非常に綺麗になるそうです。モーターも分解して中の部品も交換するとのこと。ここまで徹底してくれると安心です。

オーブン:パン屋の心臓部!種類と選び方

次に見たのは、パン屋の心臓部とも言える「オーブン」です。ひとぱん工房でも毎日フル稼働しているオーブンですが、新店舗ではどんなものを選ぼうか、非常に悩ましいところ。

見学したのは、「株式会社コトブキ」のデッキオーブンでした。

「それでこれ(デッキオーブン)が、株式会社コトブキの右(操作盤)。これが、4枚差し3段のスチーム3段です。」

と説明を受けました。「4枚差し3段」というのは、一度に天板を4枚入れられるスペースが3段ある、という意味です。そして「スチーム3段」は、3段全てでスチーム(蒸気)を発生させることができるということ。

オーブンを選ぶ際のポイントは、一度に焼けるパンの量(=天板の枚数と段数)スチーム機能の有無、そして設置スペースに収まるサイズです。

特にサイズは重要で、オーブンの搬入経路や設置場所の天井高などを事前にしっかり確認しておく必要があります。

業者さんのお話では、一般的な業務用オーブンの幅は1330mm~1400mm弱くらい。そして、搬入の際には台車に乗せるため、その分の高さも考慮して、天井高は2100mm(2m10cm)くらいは欲しいとのことでした。

他にも「三幸機械」さんのオーブンも見せていただきました。コトブキさんのオーブンは、比較的コンパクトな設計になっているそうです。

オーブンの使いやすさという点では、各段の高さも気になるところです。

一番下の段が低すぎると、腰をかがめて作業することになり、体に負担がかかります。かといって、下の段を高くすると、今度は上の段が高くなりすぎてしまいます。このあたりは、実際に使う人の身長や作業のしやすさを考慮して選びたいですね。

モルダー:食パン作りを楽にする機械

続いては「モルダー」。これは、食パンなどの生地を成形する際に、生地の中のガスを抜きながら丸めたり、棒状にしたりする機械です。

手作業でももちろんできますが、数多くの食パンを効率よく作るためには、モルダーがあると非常に助かります。生地を均一に締められるので、焼き上がりのキメも整いやすくなります。

見せていただいたのはコトブキ製のものでしたが、愛工舎製のモルダーもたくさんあるとのことでした。

モルダーは、メーカーによって多少操作性が異なるようですが、基本的な機能は同じ。例えば、非常停止ボタンの位置などが違う程度だそうです。中古品を選ぶ際は、新しさよりも、手入れのしやすさや、自分の作業スタイルに合うかどうかを重視すると良いかもしれません。女性が使うなら、作業台の高さが低い方が扱いやすいかもしれませんね。

ミキサー:パン生地作りの力強い味方

パン生地作りに欠かせないのが「ミキサー」です。小麦粉や水、酵母などの材料を混ぜ合わせ、捏ね上げる作業は、パン作りの基本であり、最も力のいる作業の一つ。

現在、ひとぱん工房で使っているのは、おそらくKANTO(関東混合機工業)さんの30クォートサイズのミキサーです。クォートというのは、ミキサーのボウルの容量を表す単位で、数字が大きいほど一度にたくさんの生地を捏ねることができます。

業者さんからは、ミキサーは最終的には2台持つのが理想的というアドバイスも。

例えば、大きいサイズのミキサーと小さいサイズのミキサーを使い分けたり、同じサイズのものを2台並べて効率を上げたりする方法があるそうです。確かに、生地の種類や量によって使い分けられると便利ですよね。

大手パン屋さんで使われるのは、60クォートサイズのミキサーに、オプションで30クォートのボウルを取り付けて使えるようにするタイプだそうです。そうすれば、一台で大小両方の生地量に対応できますね。ただし、フックなどのアタッチメントはそれぞれ必要になります。

ミキサーで大変なのが、出来上がった生地をボウルから取り出す作業です。特に量の多い生地はかなりの重量になります。

「作業台の上にミキサーを上げたりとか…(電動の機械はないですかね?)」と期待を込めて聞いてみましたが、
「ほとんどの方自力だと思います。工場とかじゃない限り。皆さん、あれでだいたい腰をやっちゃうんです。ここの改善点なかなか生まれないですね。パン屋さんの女の子のアルバイトとかパートさんが辞めちゃうのは(ミキサーの生地上げが)重くて…。」
という現実的なお話。

残念ながら、中小規模のパン屋さんでは、生地の取り出しを電動で行えるような機械はあまり普及しておらず、ほとんどが手作業だそうです。これが原因で腰を痛めてしまったり、女性スタッフが辞めてしまう原因になったりすることもあると聞き、共感しました。少しでも作業負担を減らせるような工夫が必要だと感じます。

ミキサーの高さも重要で、あまり高すぎない、自分の身長に合った作業しやすい高さのものを選ぶのが大切ですね。

スライサー:パンを美しくカット

最後に「スライサー」。食パンなどを均一な厚さにスライスするための機械です。

見せていただいたのは、メーカーも新しさも異なる2台のスライサー。業者さんによると、スライサーは基本的にモーターがしっかりしていて、刃を新しくすれば、古い機種でも十分に使えるそうです。

最近の新しいスライサーは、安全装置が充実しているものが多いとのこと。

例えば、パンをセットしてスイッチを入れると自動でスライスしてくれるタイプや、安全のために両手で操作しないと動かないような仕組みになっているものなどがあるようです。安全性は非常に重要なので、こういった機能も選ぶ際のポイントになりますね。

その他:ラックなど

その他にも、焼いたパンを冷ましたり、天板を置いたりするための「ラック」も見せていただきました。「六取天板(パン業界でよく使われる約60cm×40cmの天板)を横に2枚差せるラック」など、工房の規模や作業効率に合わせて様々なサイズや形状があります。

まとめ:中古機械選びで大切なこと

今回、中古の製パン機械屋さんを見学して感じたのは、実際に自分の目で見て、触って、話を聞くことの大切さです。カタログだけでは分からない機械の大きさや状態、使い勝手などを確認できますし、専門の業者さんから貴重なアドバイスをもらうこともできます。

中古機械を選ぶメリットは、何と言ってもコストを抑えられること。そして、きちんと整備されたものであれば、新品と遜色なく使えるということです。

一方で、注意点としては、機械の状態をしっかり見極めること、保証やアフターサービスについて確認すること、そして搬入経路や設置スペースを事前に確認しておくことなどが挙げられます。

特に女性のパン職人さんにとっては、機械の高さや重さ、操作のしやすさなども重要なポイントになると思います。無理なく、安全に作業できる環境を整えることが、長くパン作りを続けていくためには不可欠です。

今回の見学は、新店舗のイメージを具体的にする上で、とても有意義な時間となりました。どんな機械を導入するか、じっくり検討していきたいと思います!

皆さんも、もしパン屋さんの開業や機械の買い替えを検討されているなら、一度中古機械の専門店を覗いてみてはいかがでしょうか?思わぬ掘り出し物に出会えるかもしれません。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

\ 国産小麦のパンを全国へ /

ひとぱん工房の冷凍便

オンラインショップでは、店舗でしか味わえなかった手作りパンを「冷凍」でお届けいたします。
冷凍だからこそ、風味を極力逃さずに遠方の方でも焼きたてのような味わいをそのままにお楽しみいただけます。
お好きな時にオーブンやトースターで温めれば、国産小麦が香るふんわり食感をお家で再現可能です。

ABOUT ME
ひとぱん工房
ひとぱん工房
国産小麦100%のパン屋
国産小麦100%にこだわり、熊本と北海道から厳選した小麦を使用する「ひとぱん工房」は、毎週土曜と日曜日のみオープンする手作りパンのお店です。東京や大阪の有名店で10年以上修行を積んだ女性店長が、香り高い素材を引き立てるこだわりの製法で丁寧に焼き上げています。砂糖はミネラル豊富な鹿児島県産の粗糖、塩には沖縄県産のシママースを使用し、素材の旨みを最大限に引き出したパンをお届けします。小麦の豊かな風味とふんわりとした食感が特徴で、どれも素材本来の味わいを存分に感じられると思います。
記事URLをコピーしました