パン屋を辞めたくなったこと
ジャム兄:
さあ、始まりました。
「ひとぱんラジオ」ということで、今回は東北地方からお送りしたいと思います。よろしくお願いします。
ひとみ店長:
よろしくお願いします。
ジャム兄:
パン屋さんを開業したいと思って、思い続けて開業するじゃないですか。
その間に「辞めたい」と思ったことはありませんか?
夢をずっと夢として持ち続けるための秘訣みたいなもの、教えていただけますか?
ひとみ店長:
私、過去のことを忘れちゃうタイプなので、特にネガティブなことは思い出せないんです。
でも、思い出しながら話すと…開業への道が険しすぎて、「もう違うのかな?」みたいな、こっちの道じゃないのかな?と思ったことはありました。
例えば、飲食が厳しすぎて「飲食じゃないのかな」とか、「パン屋さんやるってやっぱり無理なのかな?」とか「難しいのかな?」と思ったり。
自分の目標がうまく達成できなかったり、思っていた結果が得られなかった時に、「ここまでやってもダメならダメなのかな?」と考えたこともあります。
でも結局、諦めなかったとも言えるし、今やっているのでね(笑)。
ただ、逆に「諦めたから進んだ」感もあります。
うまく言えないんですが、力を緩めたからこそうまくいったことがあったんですよ。
ジャム兄:
力を緩めたから、ですか?
ひとみ店長:
そうなんです。
最初はすごく力んで「やらせてください!」「私はお店をやるんです!学ばせてください!」って燃えている感じで、ギラギラしていました。
でも、そういうのではなくて「パン作りたいでーす!」みたいなゆるい感じの人のほうが、良いポジションを取っていくのを何度か見たことがあったんです。
ガツガツしている人よりも、「ただ働きます」という淡々とした人のほうが採用されたり、ポジションについたりすることが多いと気づいて、そこから変わりました。
それまで私はガツガツしていたので、ぶつかってばかりでうまくいかないことが多かったんです。
本当に生き急いでいたんですよね。
ジャム兄:
生き急いでいたんですか。
ひとみ店長:
はい。上京して最初のパン屋さんで1年も持たなくて、自信を失いかけて…
でも「パン屋さんを辞めよう」とは思わなかったんです。
新しいパン屋さんで頑張ろう、と切り替えていったんですが、それでも焦ってばかりでした。
退職しても次の日から新しい職場に就くくらい働き続けて、働いていないと不安だったんですよ。
ジャム兄:
なるほど。病気みたいな感じですね。
ひとみ店長:
そうですね(笑)。
でも、ある時、次の職場を決めずに辞めて、さらに怪我までしてしまったんです。
ジャム兄:
怪我?足の?
ひとみ店長:
はい、足の怪我で立てなくなっちゃって。職場を探そうとしていたら、東北の震災、3.11が来て…。
ジャム兄:
東北の震災ですか。
ひとみ店長:
そうです。
混乱状態の中で大阪に帰ってきなさい、みたいな話になって。
1ヶ月くらい本当に何もしない日を過ごしました。
それまではずっと働き続けていたので、最初は不安で仕方なくて「どうしよう、どうしよう」って思っていましたが、人って慣れるもので、1週間くらい経つと「これもいいんじゃない?」って(笑)。
ジャム兄:
なるほど(笑)。
ひとみ店長:
その時に「こんな生活もいいんじゃない?」と思えたんです。
それから焦らなくなって、縁があった職場に入っても「焦らずに、困っているポジションをやらせてもらおう」という感じで進めるようになりました。
ジャム兄:
それが落ち着いたスタイルだったんですね。
ひとみ店長:
そうです。
実際にやったことのないポジションも楽しめて、今を楽しむようになりました。
それで不安が落ち着いて、未来ばかり見ずに「今」に集中できるようになったんです。
ジャム兄:
それが転機だったんですね。
ひとみ店長:
はい。そのおかげで「パン屋さんやるのは決まっている」と冷静に思えるようになりました。
あとはお金のこととか、経営の勉強とか。
物事を100か0かで考えず、間があると気づけたのが大きかったです。
ジャム兄:
夢を追いかける姿勢がすごいですね。
ひとみ店長:
夢は追いかければ必ず叶うんです。
自分が決めたことなので、叶う道が見えてきます。
私はパン屋を開業してゴールではなく、次の道があるので、今も頑張っています。
これからも変わらず楽しみながら進んでいきたいですね。
ジャム兄:
ありがとうございます。今年も頑張っていきましょう!
ひとみ店長:
はい!2025年も楽しんでいきましょう。
5周年をお祝いしてくださった皆さん、ありがとうございます。今年もよろしくお願いします!