パン屋が挑戦!絶品ハンバーガー開発秘話。一番人気に輝いた「プルドポークバーガー」の魅力とは?
先日、とあるご縁から、ハンバーガーの商品開発という、パン屋の私にとって新しい挑戦をさせていただきました。もちろん、バンズには「ひとぱん工房」自慢のパンを使っています。
今回は、個性的なバーガーというご依頼のもと、以下の4種類を試作しました。
- クラシックバーガー:王道の味わいを追求した、誰もが大好きなシンプルなバーガー。
- アメリカンバーガー:ホロホロお肉が絶品の「プルドポーク」を挟んだ、一番人気のバーガー。
- ラムバーガー:ラム肉好きの私がこだわった、スパイスとソースが決め手の個性派バーガー。
- エゾシカバーガー:ジビエとベリーを組み合わせた、レストランのようなおしゃれなバーガー。
試作と試食会を経て、最も評価が高かったのは「アメリカンバーガー(プルドポーク)」でした。
この記事では、それぞれのバーガーがどんなものだったのか、開発の裏側や、なぜプルドポークが人気だったのかを詳しくお話しします。さらに、この経験からひらめいた「ひとぱん工房」の新しいパンのアイデアについても少しだけお見せしちゃいますね。
はじめに:パン屋がハンバーガー作りに挑戦!?
いつもはパンをこねている私が、なぜハンバーガーを?と驚かれるかもしれませんね。
実は先日、「ひとぱん工房のパンをバンズに使って、新しいハンバーガーを開発してほしい」という、とても嬉しいご依頼をいただいたんです。
私自身、ハンバーガーを家で趣味で作ることはあっても、商品として開発するのは初めての経験。パン屋の仕事とはまた違った難しさと面白さがあり、とてもワクワクする挑戦でした。
ご依頼のテーマは「他のお店では食べられないような、個性的なハンバーガー」。
このテーマを受けて、お肉選びからソース作りまで、試行錯誤を重ねた4種類のハンバーガーが生まれました。今回は、その開発秘話を皆さんにご紹介したいと思います!
試作した4種の個性派ハンバーガーを一挙公開!
それでは早速、今回試作した4つのバーガーを一つずつご紹介しますね。どれも私のこだわりが詰まった自信作です!
1. 王道の味!「クラシックバーガー」

まず一つ目は、ハンバーガーの王道「クラシックバーガー」です。
「個性的」というテーマとは少し違うかもしれませんが、まずは基本の味を知ることが大切だと思い、超シンプルな構成で仕上げました。
パティは、牛と豚の合挽き肉を使用。ジューシーで肉の旨みがしっかりと感じられるように、配合にはこだわりました。
ソースは、ケチャップとマヨネーズをベースにした特製のオーロラソース。隠し味に少しだけスパイスを加えて、味に深みを出しています。
そして、新鮮なトマトとシャキシャキのレタス、酸味のアクセントになるピクルスとオニオンスライスをサンド。
「やっぱりコレだよね!」と思っていただけるような、安心感のある美味しさを目指しました。ひとぱん工房の少し甘みのあるふわふわバンズとの相性も抜群で、これぞ王道!という一品に仕上がりました。
2. 予想外のNo.1!「アメリカンバーガー(プルドポーク)」

二つ目は、今回の試作で一番人気に輝いた「アメリカンバーガー」です。
主役は、「プルドポーク」。皆さんはご存知でしょうか?
プルドポークとは、豚の塊肉をフォークで簡単にほぐせるくらい、ホロホロになるまでじっくりと低温で煮込んだ料理のこと。アメリカ南部のバーベキューでは定番の家庭料理なんだそうです。
今回は、豚の肩ロース肉を数種類のスパイスや玉ねぎと一緒にコトコトと長時間煮込み、特製のBBQソースで仕上げました。
このプルドポークを、ベーコンとピクルスと一緒にバンズにたっぷり挟んだのが「アメリカンバーガー」です。
実は、後でご紹介するラムやエゾシカといった高級で珍しいお肉も用意していたのですが、それらを抑えてこのプルドポークが一番人気だったのには、正直少し驚きました。
でも、その理由は食べてみるとよく分かります。
甘辛い味付けとスパイスの香りが食欲をそそり、ホロホロとろける豚肉の食感がたまらないんです。普通のパティと違って、かぶりついた時にお肉がズレて落ちてしまう心配も少ないので、とても食べやすいという点も好評でした。
親しみやすいのに本格的。この絶妙なバランスが、多くの人の心を掴んだのかもしれませんね。
3. 店長イチオシ!「ラムバーガー」

三つ目は、何を隠そう、ラム肉大好きな私が一番作りたかった「ラムバーガー」です。
「個性的なバーガー」と聞いて、真っ先に思い浮かんだのがこのラムでした。
今回は、ラムの肩(ショルダー)の部分を使い、肉感を残した粗挽きのパティにしました。味付けはシンプルに塩コショウのみで、ラム肉本来の旨みを引き立てます。
そして、このラムパティに合わせたのが、ミントを加えた特製のホワイトチーズソース。
ラム料理にミントソースを合わせるのは定番ですが、今回はホワイトソースとチーズを加えて、よりクリーミーでコクのあるソースに仕上げてみました。
ラム肉には独特の香りがありますが、それが魅力でもありますよね。今回使ったお肉は、臭みが少なく、でも羊の良い風味がしっかりと感じられる上質なものでした。
ミントの爽やかな香りがラムの風味を引き立て、濃厚なチーズソースが全体をまろやかにまとめてくれます。
試食会では「かなり個性的だけど、ハマる人にはハマる味!」という評価でした。プルドポークのような万人受けするタイプではありませんでしたが、私としては「他にはないバーガー」というテーマに一番近い、会心の一作でした。
4. 未知との遭遇!「エゾシカバーガー」

最後の四つ目は、私にとっても初挑戦となる「エゾシカバーガー」です。
ジビエ料理が好きなので、いつか扱ってみたいと思っていたエゾシカ。今回、ついにその機会がやってきました。
正直なところ、エゾシカ肉を調理するのは初めてで、ほとんどぶっつけ本番(笑)。どんな味になるかドキドキしながらの試作でした。
一般的に、エゾシカのような赤身のジビエ肉は、ベリー系のソースと相性が良いとされています。そこで今回は、濃厚なデミグラスソースをベースに、甘酸っぱいブルーベリージャムを加えてソースを作ってみました。
エゾシカ肉は、適切に処理されているものだったので、いわゆる「臭み」はほとんどなく、鉄分豊富で力強い、お肉本来の深い味わいがしました。調べてみると、エゾシカ肉は高タンパク・低脂質でヘルシーなお肉でもあるんですね。
このしっかりとした味わいのエゾシカ肉に、コクのあるデミグラスソースとブルーベリーのフルーティーな酸味が絶妙にマッチ。
まるで高級レストランの前菜(アミューズ)で出てくるような、おしゃれで上品な一品に仕上がりました。ハンバーガー屋さんではまず見かけない、まさに個性的の極みのようなバーガーだったと思います。
なぜ「プルドポーク」が一番人気だったのか?
さて、個性豊かな4種類のバーガーが出揃ったわけですが、冒頭でもお話しした通り、試食会でダントツの人気だったのは「アメリカンバーガー(プルドポーク)」でした。
高価で珍しいラムやエゾシカを抑えて、なぜプルドポークが選ばれたのでしょうか。試食してくださった方々の感想をまとめると、理由は大きく3つありそうです。
- ホロホロ食感と食べやすさ
ハンバーガーを食べるとき、大きなパティが滑ってバンズから飛び出してしまった…なんて経験はありませんか?プルドポークはすでにお肉がほぐれている状態なので、その心配がありません。ソースとよく絡んだお肉がパンに馴染み、小さなお子さんや女性でもストレスなく食べられる点が、高く評価されました。 - 多くの人に好まれる親しみやすい味付け
ラムやエゾシカは、独特の風味があるため、どうしても好き嫌いが分かれがちです。その点、プルドポークの甘辛いBBQ風味は、多くの人にとって馴染み深く、素直に「美味しい!」と感じられる味だったようです。「個性的」を追求しつつも、やはり多くの人に受け入れられる「美味しさのど真ん中」を突いていたのが勝因かもしれません。 - 満足感と意外性の両立
「プルドポーク」という言葉自体、まだ日本ではそれほど馴染みがないかもしれません。だからこそ、「どんな味なんだろう?」という好奇心をそそります。そして一口食べると、期待を裏切らない美味しさと、ホロホロとろける食感の驚きが待っている。この「満足感」と「意外性」のバランスが、非常に良かったのだと思います。
ご家庭でも楽しめる!プルドポークの魅力と簡単アレンジ

今回の試作で、私もすっかりプルドポークの魅力にハマってしまいました。
実はこのプルドポーク、時間はかかりますが、おうちでも意外と簡単に作れるんですよ。炊飯器や圧力鍋を使えば、もっと手軽に挑戦できます。
豚肩ロースのブロック肉と、お好みのBBQソース、玉ねぎ、おろしニンニク、ケチャップ、お好きなスパイス(パプリカパウダーやチリパウダーなど)を一緒にじっくり煮込むだけ。
お休みの日に多めに作っておけば、平日のごはん作りがぐっと楽になります。
もちろんハンバーガーにするのが一番のおすすめですが、他にも色々なアレンジが楽しめます。
- プルドポークサンド:食パンやバゲットに挟むだけ!とろけるチーズを乗せても美味しいです。
- プルドポーク丼:温かいごはんの上に乗せて、真ん中に温泉卵をポトン。最強のどんぶり飯になります。
- タコスの具材に:タコシェルにレタスやトマトと一緒に挟めば、いつもと違うタコスパーティーに。
- サラダのトッピング:グリーンサラダに乗せるだけで、ごちそうサラダに早変わり!
ぜひ、皆さんもご家庭でプルドポーク作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?
ひとぱん工房の次なる挑戦!
今回のハンバーガー試作は、私にとって本当に刺激的で、素晴らしい経験になりました。
そして何より、プルドポークという最高の食材との出会いがありました。
作っている時から「これは絶対に美味しいパンになる!」と確信していたんです。
ということで…!
この経験を活かして、「ひとぱん工房」でもプルドポークを使った新しいパンを開発したいと思っています!
どんなパンになるかは、まだ秘密ですが…想像するだけでワクワクしてきませんか?近いうちに試作を重ねて、お店に登場させたいと考えていますので、ぜひ楽しみにしていてくださいね!
お店のInstagramなどで最新情報をお知らせしていきますので、ぜひフォローをお願いします♪
まとめ:挑戦から得られた、パン作りの新たな可能性
今回は、パン屋である私がハンバーガーの商品開発に挑戦したお話をご紹介しました。
普段のパン作りとは違う視点でものづくりをすることで、パンの持つ無限の可能性を改めて感じることができました。
どんな具材と合わせるか、どんな食感にするか、どんな物語を乗せるか…。バンズひとつとっても、組み合わせ次第で全く違う世界が広がる。今回の経験は、これからの「ひとぱん工房」のパン作りにとって、大きな財産になったと確信しています。
これからも、皆さんの日常に「美味しい!」と「楽しい!」をお届けできるようなパンを焼いていきたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。