【対談】ハノコーヒー×ひとぱん工房!実店舗オープンの裏側と手作りに込める想い
要約
- 実店舗オープンのリアル:ハノコーヒーさんをゲストに迎え、実店舗を構えたことによる営業日数の増加や、それに伴う体力的な変化について語り合いました。
- 見えない「営業時間外」の苦労:お客様からは見えない「仕込み」や「片付け」など、お店を支える裏側の地道な作業の大変さと大切さを共有しました。
- オープン当初の葛藤と成長:開店直後のドタバタ劇や、「もっと焼けばいいのに」というお声に対するパン屋としての物理的な限界と葛藤、そしてスタッフたちの頼もしい成長について振り返りました。
- 「手作業」への強いこだわり:全自動の機械生産にはない、ハンドドリップコーヒーや手作りパンならではの「特別感」や、作り手の想いが乗る温かみについて深く掘り下げました。
スペシャルゲスト登場!ハノコーヒーさんをお迎えして
今回は、前回に引き続きスペシャルゲストをお迎えしての対談企画をお届けします!こだわりの一杯を提供されているハノコーヒー(hano coffee)さんです。
ハノコーヒーさんは、今年の4月にご自身の実店舗を東松戸にオープンされました。私たちひとぱん工房も以前は市川で営業していましたが、新しい場所で実店舗を構えて運営していくことには、言葉では語り尽くせないほどのドラマがあります。
今回は、そんな「実店舗を持つということ」のリアルな裏側や、お互いの共通点である「手作りへのこだわり」について、たっぷりと語り合った内容をお届けします。
コーヒーとパン、ジャンルは違えど、お客様に特別な時間をお届けしたいという想いは同じ。ぜひ、温かいお飲み物を片手に、ゆっくりと読み進めていただければ嬉しいです。
実店舗を持つということ。見えない「営業時間外」の真実
ハノコーヒーさんは、4月に実店舗をオープンされてから、営業日数が以前の週2〜3日から週5日へと大幅に増えたそうです。「実際にやってみて、全然違うよね」と笑い合いながらお話しされていましたが、その言葉の裏には、店舗運営の現実がぎっしりと詰まっています。
お店を開けてお客様をお迎えする。それ自体はとても楽しく、やりがいに満ちた時間です。
しかし、お客様の目に見えている「営業時間」というのは、実はお店の活動全体のほんの氷山の一角に過ぎません。
対談の中でも深く共感したのが、「仕込み」や「片付け」といった営業時間外の作業の多さです。
コーヒー屋さんであれば、生豆の選別から焙煎、機材の丁寧なメンテナンス、翌日の準備など、シャッターが閉まった後にも膨大な作業が待っています。
これは私たちひとぱん工房も全く同じです。
「パンって、焼いたらすぐできるんでしょ?」と、1時間ほどでオーブンから魔法のように出てくると思われがちなのですが、実際はそうではありません。
翌日に焼き上げるパンのために、前日から生地を仕込み、適切な温度と湿度でじっくりと発酵させ、ひとつひとつ手作業で成形し、やっとオーブンの火を入れることができます。
営業が終われば、粉まみれになった工房の清掃や、翌日の材料の計量が待っています。
日々の暮らしの中でも、家族が食卓を囲むその裏には、メニューを考え、買い出しに行き、下ごしらえをして、食後の洗い物をするという「見えない作業」がたくさんありますよね。
お店の運営もまさにそれと同じで、華やかな表舞台を支えているのは、こうした地道な作業の積み重ねなのです。
ハノコーヒーさんも、「これだけ多くの作業を毎日こなしているお店の人たちはすごいな」と、他のお店を見る目が変わったと仰っていました。
オープン当初のドタバタ劇と、お客様へのもどかしい思い
新しい店舗をオープンした直後というのは、どれだけ準備をしていても予想外の連続です。
私たちひとぱん工房のオープン当初も、まさに「ドタバタ劇」と呼ぶにふさわしい毎日でした。
ありがたいことに連日たくさんのお客様にご来店いただき、焼き上がったパンが次々と棚からなくなっていく状態。
お客様からは「足りないなら、もっと焼けばいいのに」という率直なお声もいただきました。
せっかく足を運んでくださったのに、選べるパンが少ない状態でお迎えするのは、私としても本当に心苦しく、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
しかし、先ほどお話しした通り、パン生地の発酵や焼き上げにはどうしても「物理的な時間」がかかります。オーブンのスペースにも限界があり、ボタンを押せば量産できるわけではないのが、手作りのもどかしいところです。
それに加えて、当時はスタッフの育成も同時進行でした。
工房も店舗も、慣れない環境の中で一生懸命に動いてくれていましたが、最初は「店長、これの確認をお願いします」「次は何に進めばいいですか?」と、私のところで作業の手が止まってしまうことが何度もありました。
みんなでなんとか乗り切ろうと、ほとんど寝る間を惜しんで、ひたすら「焼けるだけ焼く」という日々が続いていたのです。
しかし、4ヶ月という時間を経て、状況は大きく変わりました。
あんなに私に確認を求めていたスタッフたちが、今では自分たちで判断し、見事な連携で工房を回してくれています。
「店長が指示しなくても、流れるように工程が進んでいく」。
この成長の過程を見守ることができたのは、私にとって何よりの喜びです。
今では、オープン当初のあの嵐のような日々も、チームの絆を深めるために必要な時間だったと心から思えます。
なぜ「手作業」にこだわるのか?ハンドドリップと手作りパンの共通点
対談の後半では、ハノコーヒーさんの「ハンドドリップへのこだわり」についてお聞きしました。
世の中には、全自動で抽出してくれる素晴らしいコーヒーマシンがたくさんあります。
ボタン一つで、誰が淹れても全く同じ味を出せる機械を導入すれば、もっと効率よく、たくさんのお客様に提供できるはずです。
それでも、なぜ一杯ずつ手で淹れるハンドドリップにこだわるのか。それは、「特別感」と「手作りならではの温かみ」があるからだそうです。
工場で作られる大量生産の製品には、確かに「ミスがない」「形が均一である」という素晴らしさがあります。
しかし、ハノコーヒーさんが目指しているのは、マニュアル化された無機質な味ではありません。お湯を注ぐ時のほんの少しの間の取り方、豆の膨らみ具合を見極める視線、そして「美味しくなれ」と込める想い。そうした人間の手が加わることでしか生まれない、一杯の「特別感」を大切にされているのです。
このお話を伺って、私は強く頷いてしまいました。私たちひとぱん工房が、効率化だけを追い求めず、手作りにこだわっている理由も全く同じだからです。
工場生産のパンは、はみ出ることもなければ、形が不揃いになることもありません。万人受けする安定した仕上がりです。
しかし私たちは、その日の気温や湿度に合わせて生地の表情を読み取り、手で触れた時の柔らかさを確かめながら、一つ一つのパンに命を吹き込むように成形しています。
時には少し焼き色が濃くなったり、形が個性豊かになったりすることもありますが、それこそが「人が作っている証」です。
効率を優先すれば省ける手間かもしれませんが、私たちがお客様に届けたいのは、単なるカロリーとしての食べ物ではなく、「心を満たす特別な時間」なのです。
手間暇をかけて大切に育てた国産小麦のパンには、どうしても機械には真似できない「作り手の温度」が宿ると信じています。
これからの目標と、お客様へ届けたい「特別な時間」
現在、ハノコーヒーさんは2人体制でお店を切り盛りされています。今後は、スタッフを雇って体制を強化し、自分たちの目の届く範囲で、より多くの方にこだわりのコーヒーを届けていきたいという目標を語ってくださいました。
様々な人が淹れることで、また違った味わいや魅力が生まれるかもしれないという前向きな姿勢に、私もたくさんの刺激をいただきました。
私たちひとぱん工房も、これからも現状に満足することなく、スタッフ一同で技術を磨き合いながら、より良いお店づくりに励んでいきます。
チェーン店やコンビニに行けば、いつでも手軽にコーヒーやパンが手に入る便利な時代です。だからこそ、わざわざお店に足を運んでくださるお客様には、「ここでしか味わえない温かみ」を感じていただきたい。
一杯のコーヒー、一つひとつのパンを通して、皆さんの日常にささやかな幸せと、ホッと一息つける特別な時間をお届けできればと願っています。
ハノコーヒーさん、今回は本当に貴重なお話をありがとうございました!これからもお互いに、地域のお客様に愛されるお店を目指して頑張っていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お店作りの裏側には色々な苦労もありますが、お客様の「美味しかったよ」の笑顔があるからこそ、私たちは毎日オーブンの前に立つことができます。
これからも、ひとぱん工房をどうぞよろしくお願いいたします!






