【ひとぱん工房】スタッフさんの健康を守る「無理をしない」パン作りの裏側
- パン業界の戦略「多品目販売」には、スタッフさんの高い生産力と熟練の技術が必要不可欠です。
- 未経験スタッフさんが多いひとぱん工房では、いきなり種類を増やすのではなく、着実にスキルを育てながら無理のないペースで増やしております。
ひとぱん工房が直面した「多品目販売」の壁
今年のゴールデンウィークも本当にたくさんのお客様にお越しいただき、お店は大忙しでしたが、最近ようやく少し落ち着きを取り戻してきました。
今回は、私たちが普段どんな裏側でパンを焼いているのか、そして一緒にお店を支えてくれているスタッフさんたちの働き方について、少しお話しさせてください。
パン屋さんの販売戦略の一つに、「多品目販売」という手法があります。これは、とにかくパンの種類(品目)を増やして、その代わり1種類あたりの生産数を減らすという戦法です。
お店に入った瞬間、棚いっぱいに違う種類のパンがズラリと並んでいると、お客様としては選ぶのがとても楽しくなりますし、ワクワクしますよね。
ただ、この多品目販売、実は裏側では非常に高い生産力と熟練の技術が求められるのです。例えば、埼玉県越谷市にある有名なパン屋さん「ブーランジェリー・エルポール」の森シェフのところでは、なんと3人のスタッフさんで250種類ものパンを焼き上げているそうです!
これは本当に信じられないほどの手際の良さで、能力の高い職人さんたちがすべてのパンの工程をしっかり把握し、並行思考で流れるように作業しているからこそ成し得る業(わざ)なのです。
未経験からスタートした私たちの挑戦
私たちの「ひとぱん工房」ではどうかというと、現在働いてくれているスタッフさんの多くは未経験からスタートしたアルバイトの方々です。
働き始めてまだ2ヶ月という方もたくさんいらっしゃいます。
そうした状況の中で、いきなり何十種類、何百種類ものパンを作ろうとすると、どうなるでしょうか。
次にどの作業をすればいいのかを頭の中で考えながら動くことになり、結果的に手が止まってしまったりして、かえってスムーズにパンを出せなくなってしまうのです。
次々と工程をこなしていくには、体で覚えるほどの熟練が必要だからです。
現在はおかげさまで新しく25種類ほどのパンを増やすことができましたが、無理をして一気に増やすのではなく、みんなが確実にお店に出せるペースを守って進めています。
お母さんたちの「HP」を守るためのルール

実は、ひとぱん工房で働いてくれているスタッフさんの多くは、毎日家事や育児に奮闘しているお母さんたちです。
日々、家庭を守りながら外でも働くというのは、本当に大変なことですよね。
仕事が終わって家に帰っても、お母さんたちには息つく暇もありません。
ご飯の支度をして、子どもをお風呂に入れて、寝かしつけて……。夜、布団に入る頃には、ゲームのキャラクターで言えば「HP(ヒットポイント)が残り1」というギリギリの赤色状態になっているのではないでしょうか。
そして、一晩寝ても完全には回復せず、「翌朝HP 30」くらいの黄色いゲージの状態でまた出勤してきてくれる。
なんとか体力を温存しながら1日を乗り切り、最後にまたHP 1になって布団に倒れ込む……。そんな風に身を削って頑張ってくれている姿を見ると、私としては本当に頭が下がる思いで、感謝の気持ちでいっぱいになります。
だからこそ、ひとぱん工房ではスタッフさんの体を壊さない働き方を何よりも大切にしています。
一日の労働時間は長くても8時間程度とし、無理な残業はしません。
もしそれ以上働きたいという方がいれば、自由に他でダブルワークをしてもらうようにしています。
スタッフさんたちが希望するシフトにしっかりと寄り添い、お互いに気持ちよく働ける職場でありたいと強く願っています。
焦らず、みんなで歩むお店作り
未経験から始めたスタッフさんたちも、本当に飲み込みが早く、日々目覚ましい成長を見せてくれています。
まだ慣れていないからこそ大変な時期ではありますが、毎日コツコツと経験を積み重ねていくことで、やがて効率の良い方法が身につき、体への負担もさらに減っていくはずです。
スタッフさんの伸び代は無限大で、これからの成長が私自身とても楽しみなのです。
お客様に喜んでいただけるよう、少しずつ無理のない範囲で新しいパンのバリエーションも増やしていく予定です。
スタッフさんの成長とともに、お店に並ぶパンの景色が少しずつ豊かになっていく過程を、ぜひ皆様にも見守っていただければ嬉しいです。





