国産小麦のクロワッサンと無農薬オーガニックライ麦の魅力
要約
- 試行錯誤を重ねたクロワッサン:当初は苦戦したものの、今では開店直後に売り切れるほど大人気商品に成長しました。
- 「折り込み」の奥深さ:生地と国産バターを何層にも重ねて作るサクサク食感の秘密についてお話ししています。
- 国産小麦へのこだわりと課題:現在イースト以外はすべて国産化を実現。一方で、農業現場における輸入肥料への依存という根本的な課題も感じています。
- 自然を再生するオーガニックライ麦:地中深く根を張り、自然の力で土壌を耕すライ麦の素晴らしい力について解説します。
- サステナブルなパン作り:北海道産の無農薬ライ麦を使ったロブロやカンパーニュを通して、自立した国内農業を応援する想いをお伝えします。
試行錯誤から生まれた大人気「クロワッサン」
最近、お店で大変ご好評をいただいているのが、国産小麦で作るクロワッサンです。
実を言うと、最初から今のように綺麗にふっくらと焼けていたわけではありません。
オープン当初は形がうまくいかなかったり、思うような層が出なかったりと、本当に手探りの状態が続いていました。
最近では、プレーンなクロワッサンだけでなく、2色の生地を使った見た目も華やかなバイカラーのパン・オ・ショコラなどにも挑戦しています。
日によって少し形が違ってしまったりと、まだまだ試行錯誤の連続ですが、それも手作りならではの味わいとして楽しんでいただけたらと思っています。

クロワッサンを作る上で欠かせないのが「折り込み」という工程です。
この作業、言葉にするのは簡単ですが、実はとても奥が深く繊細な技術が必要なんです。
クロワッサン特有のサクサクとした美しい層を作るためには、生地と冷やしたバターを交互に重ねていく必要があります。
薄いバターの層を生地で丁寧に包み込み、平らに伸ばしては折りたたみ、また伸ばしては折りたたむ…という作業を何度も繰り返します。
この何層にも重なった極薄のバターが、オーブンの熱で溶けて空洞を作ることで、あのサクッと軽い極上の食感が生まれるんです。
おかげさまで、今では陳列すると、すぐに売り切れてしまうほどの看板商品に成長しました。
お客様同士で「今日はクロワッサン買えた?」とお話しされている声が聞こえてくると、本当に胸がいっぱいになります。
せっかく楽しみに足を運んでくださったのに、売り切れてしまっていて残念な思いをさせてしまうことも多く、大変申し訳なく思っています。
もっとたくさんの方に味わっていただけるよう、これからも一つひとつ丁寧に折り込み、心を込めて焼き上げていきますね。
国産小麦へのこだわりと、見えてきた「輸入頼み」の課題
ひとぱん工房では、安心してお召し上がりいただけるよう、パンの生地はもちろん、バターや副材料も極力国産のものを選ぶようにしています。
現状、パンを膨らませるためのイーストだけは、どうしても輸入物に頼らざるを得ない状況ですが、ゆくゆくはこれも完全に国産に切り替えたいと考えています。
どうしてここまで「国産」にこだわるのか?
それは、小さなお子様からご年配の方まで安心して食べられるパンを作りたいという想いに加えて、日本の農業や食料自給率を応援したいという強い願いがあるからです。
しかし、国産の食材を深く知れば知るほど、日本の農業が抱える大きな壁が見えてきました。
例えば、お肉にしてもお野菜にしても、「国産」と表記されていても、牛や豚が食べる飼料、野菜を育てるための肥料などは、実はその多くを海外からの輸入に頼っているのが現状です。
パン作りの主役である小麦も例外ではありません。
私たちが使っている小麦は正真正銘の国産ですが、その小麦を育てる土に撒く肥料が海外産だとしたら、それは本当の意味で「日本の力だけで作った」と言えるのでしょうか?
肥料の価格高騰や、海外の情勢に左右されやすい現状に、農家さんたちも深く頭を悩ませています。
「このままではいけない。もっと自立した、持続可能な農業の形はないのだろうか?」
パンを焼きながら、そんな葛藤を抱くようになりました。
農業の未来を変える希望の光!「オーガニックライ麦」の驚くべき力
そんな日本の農業の課題を解決する希望の光として、私が今最も注目しているのが、無農薬・無化学肥料で育つオーガニックの「ライ麦」です。
ライ麦には、他の作物にはない、自然の摂理を活かした素晴らしい特徴があります。
それは、根っこが地中深く、なんと2メートル以上も力強く伸びるということです。
この深く張った根が、長年の農作業でカチカチに硬くなった土を自然にほぐし、フカフカに耕してくれます。
つまり、機械を使って人間がわざわざ重労働をしなくても、ライ麦自身が勝手に土壌を改良してくれるのです。
トラクターを動かす燃料も、耕すための人件費も必要ありません。
さらに、ライ麦はとても背が高く成長するため、太陽の光を遮り、周囲の雑草を適度に抑える効果もあります。
他の草花と上手に共生しながら育つため、環境に負担をかける除草剤や、輸入に頼っている化学肥料・農薬も一切必要ないんです。
お日様の光と自然の恵みだけでのびのびと育ち、気づけば土まで元気にしてくれる。
まさに、自然と人間が無理なく共に生きるオーガニック(有機農業)の理想的な姿ですよね。
手間もコストも大幅に落ち、環境にも優しく、しかも栄養満点。
こんなに素晴らしい作物が日本中で広まれば、もっと安全で豊かな食卓を守っていけるはずだと強く信じています。
北海道の恵みを味わう「ロブロ」と「カンパーニュ」
ひとぱん工房では、北海道の広大な大地で自然栽培されている、こだわりのオーガニックライ麦を使用しています。
農薬や化学肥料を一切使わず、お天道様とその土地の持つ自然の力だけで力強く育った生命力あふれるライ麦です。
この大切なライ麦を使って当店で焼き上げているのが、デンマーク発祥の伝統的なライ麦パン「ロブロ」や、素朴で奥深い味わいの「カンパーニュ」です。
ロブロは、ライ麦をたっぷりと使用した、ずっしりとした重みと独特の酸味が特徴のパンです。
ご家庭では、薄くスライスして、たっぷりのバターやクリームチーズ、サーモン、色鮮やかなお野菜などを乗せて、オープンサンド(タルティーヌ)にして召し上がっていただくのがおすすめです。
噛めば噛むほどに、ライ麦本来の深い旨みと香ばしさが口いっぱいに広がります。
カンパーニュも、ライ麦の豊かな風味を活かし、外はパリッと香ばしく、中はもっちりとした食感に焼き上げています。
温かいスープに合わせたり、休日の朝食にサンドイッチにしたりと、どんなお料理にも優しく寄り添ってくれます。
これらのパンを通して、オーガニックライ麦の素材の力だけでなく、その背景にある「自然環境への想い」や「持続可能な農業の大切さ」を、少しでも皆様の食卓へお届けできたら嬉しいです。
上流の農家さんから下流の私たち消費者まで、すべて国内の資源で循環できるような安心・安全な製品が、これからもっともっと日本に増えていくことを願っています。
これからも、自然の恵みと生産者さんへの感謝を忘れず、皆様のご家族が笑顔になれるような国産小麦のパンを毎日丁寧に焼き続けていきます。
今週末も、お店で元気にお待ちしております!
それでは皆様、おつパンです!






