パン屋経営において大切な3つのこと

hitopan

「ひとぱん工房」を開いて数年が経ちました。
朝早くに起き、静かな厨房でパン生地と向き合う時間が、私にとって一番落ち着く瞬間です。
生地の柔らかさ、発酵具合、そしてオーブンの中でパンが膨らむ様子。
修行時代に何度も何度も繰り返して学んだことが、今も私の手の中に息づいています。
でも正直に言えば、「パンを作る技術だけでお店を続けることはできない」という現実に、何度も壁を感じました。

私がパン職人として修行していた頃は、ひたすら技術を磨くことが正義でした。
「美味しいパンを作れば、お客様は自然と来てくれる」と信じて疑わなかったんです。
でもいざ自分のお店を持つと、目の前に広がる現実はまるで違いました。

パンは作るだけじゃ、売れない。
なんて言うと少し冷たいかもしれませんが、これが経営の難しさです。
パンを焼く技術、レシピ、食材選び。
それらはお客様に満足していただくために絶対に必要です。
でも、その先にある“経営”というものは、私の修行時代には誰も教えてくれませんでした。

「パン屋をどうやって続けていくか?」

この問いが、私の頭から離れなくなったのはお店を開いて半年ほど経った頃です。
最初は近所の方が応援してくださり、足を運んでくれました。
でも時間が経つと少しずつ、お客様の足が遠のく日も出てきました。
焦りと不安。
売れ残ったパンを見つめながら、私の胸に広がるのは「このままでいいのだろうか」という気持ちでした。

お店を続けるために必要なことは、大きく分けて3つあると今では思います。

1つ目は、もちろん「お客様に満足いただける商品を作ること」。
これは私の誇りであり、パン屋としての原点です。
どれだけ経営に悩んでも、私が一番大切にしたい部分です。
国産小麦のパンを手にしたお客様が「美味しい!」と笑顔を浮かべる瞬間。
その瞬間を見るために、私は朝早くからオーブンを温め続けるのです。

2つ目は、「利益を出し続けること」。
商売を続けていくには、利益を出し続けて、スタッフや機材の力を借りて日々成長していく必要があります。
だからこそ、原価コスト、販売価格設定、廃棄ロスの管理…
考えなくてはいけないことが山のようにあります。
最初は「お金のことを考えるなんて…」とどこか後ろめたさがありました。
でも、このお店を続けることができなければ、国産小麦のパンを作り続けることもできない。
そう気づいたときから、数字と向き合うことも“お客様の笑顔を守るための一部”なんだと考え方が変わりました。

そして3つ目が、「お客様にお店を知っていただくこと」。
これだけ美味しいものがあふれる現代では、ただ待っているだけじゃ誰も来てくれません。
SNSでの発信や、イベントへの参加、地域のコミュニティとのつながり。
最初は慣れないことばかりでしたが、ひとつひとつ挑戦していくことで、少しずつ「ひとぱん工房」の存在を知っていただけるようになりました。

今でも時々、修行時代の自分に言いたくなることがあります。
「技術だけじゃ、お店は続かないよ。」
でも、その言葉を続けるなら、
「技術と、お客様への想いがあれば、学び続けることができるよ。」とも伝えたい。

パン屋の経営は、思っていたよりもずっと大変です。
でもその分、日々の成長があり、誰かの幸せな時間を作れる大切な仕事だと心から感じています。
小さな子どもが手をつないでお店に来て、パンを嬉しそうに買って帰る姿。
常連のお客様が「すごく美味しかった!」と声をかけてくださる瞬間。

そんな“小さな幸せ”が、私の心を満たしてくれます。

ひとぱん工房は、これからも国産小麦のパンと一緒に、皆さんの毎日に寄り添うお店でありたいと思います。
“パン作り”と“お店作り”、どちらも一緒に育てながら。

\ 国産小麦のパンを全国へ /

ひとぱん工房の冷凍便

オンラインショップでは、店舗でしか味わえなかった手作りパンを「冷凍」でお届けいたします。
冷凍だからこそ、風味を極力逃さずに遠方の方でも焼きたてのような味わいをそのままにお楽しみいただけます。
お好きな時にオーブンやトースターで温めれば、国産小麦が香るふんわり食感をお家で再現可能です。

ABOUT ME
ひとぱん工房
ひとぱん工房
国産小麦100%のパン屋
国産小麦100%にこだわり、熊本と北海道から厳選した小麦を使用する「ひとぱん工房」は、毎週土曜と日曜日のみオープンする手作りパンのお店です。東京や大阪の有名店で10年以上修行を積んだ女性店長が、香り高い素材を引き立てるこだわりの製法で丁寧に焼き上げています。砂糖はミネラル豊富な鹿児島県産の粗糖、塩には沖縄県産のシママースを使用し、素材の旨みを最大限に引き出したパンをお届けします。小麦の豊かな風味とふんわりとした食感が特徴で、どれも素材本来の味わいを存分に感じられると思います。
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