【韓国パン屋巡り】ソウル安国のArtist Bakeryほか行列店3選!カフェ文化も紹介
先日、ひとぱん工房のスタッフと一緒に、パン作りのヒントを探しに韓国へ研修旅行に行ってきました!
3日目は、歴史的な建物とオシャレなカフェが融合する街、ソウルの安国(アングク)エリアを散策。ここは王様が住んでいた宮殿「景福宮(キョンボックン)」のすぐ近くで、まさに観光のど真ん中です。
今回は、そんな安国エリアで私たちが見つけた、行列のできる人気のパン屋さんと、そこで感じたパン作りの新たな可能性について、レポートしたいと思います。
- Artist Bakery(アーティストベーカリー): 大人気のロンドンベーグルミュージアムの姉妹店。見た目も華やかな塩バターパンが絶品!
- Cafe Onion(カフェオニオン): 100年以上前の古民家(韓屋)を改装した、趣のあるパン屋さん。
- 밀토스트집(Mil Toast House): ふわふわの蒸し食パンが名物の専門店。
韓国のパンのトレンドや、面白いカフェ文化についても触れていますので、韓国旅行を計画中の方や、パン好きな方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
はじめに:パンの聖地!ソウル・安国(アングク)エリアへ
研修旅行3日目の朝、私たちが向かったのは、ソウルの中でも特に人気の観光地・安国(アングク)エリアです。
ここは、かつて王様が暮らした壮大な宮殿「景福宮(キョンボックン)」があり、韓国の伝統的な家屋「韓屋(ハノク)」が立ち並ぶ「北村韓屋村(プクチョンハノクマウル)」にも隣接しています。歴史的な趣と、現代的でおしゃれな雰囲気が共存する、とても魅力的な街なんです。
そんな安国には、個性豊かなパン屋さんやカフェがたくさん集まっています。私たちは朝一番から気合を入れて、3つのお店を巡ることにしました!

1店舗目:Artist Bakery(アーティストベーカリー)- 見て、食べて、五感で楽しむアートな空間

まず訪れたのは、前日に訪問した「ロンドンベーグルミュージアム」の姉妹店、「Artist Bakery(アーティストベーカリー)」です。こちらも大人気店だと聞いていたので、朝7時半ごろに到着したのですが…すでに行列が!30人くらいは並んでいたでしょうか。韓国のパン屋さんの人気ぶりには本当に驚かされます。
ただ、幸いなことにテイクアウトは進みが早く、比較的すぐに入店することができました。店内飲食(イートイン)を希望する方がほとんどだったようですね。
主役は「塩バターパン」!でも、中身はそっくり?

「アーティストベーカリー」の面白いところは、ロンドンベーグルミュージアムとコンセプトがはっきりと分かれている点です。
ロンドンベーグルミュージアムがその名の通りベーグル専門店なのに対し、こちらのアーティストベーカリーは塩バターパンが主役。生地の成形の仕方は違いますが、パンに挟む具材の組み合わせなどは、驚くほどよく似ていました。
例えば、クリームチーズや野菜、ハムなどをたっぷり挟んだスタイルは、まさにロンドンベーグルミュージアムと同じ。姉妹店ならではの共通点が見られて面白かったです。

「ハード」と「ソフト」、2種類の生地から選べる楽しさ

このお店のパンは、大きく2つのタイプに分かれています。
- ハード系生地: バゲットを使った、噛み応えのあるタイプ。
- ソフト系生地: ふんわりと柔らかい食感のタイプ。
どちらの生地にも、様々な具材が組み合わせられていて、どれにしようか本当に迷ってしまいます。アーティストベーカリー限定のチョココーティングされたものなど、オリジナルの商品もいくつかありました。
シンプルなパンがない!「具沢山」が韓国流?

お店に並んでいるパンを見て、一番驚いたのはシンプルなパンがほとんどないことでした。
ひとぱん工房では、バゲット単体で販売していますが、このお店では、バゲットに野菜やクリームチーズ、ハムなどがぎっしりとサンドされた状態で売られています。一番シンプルかな?と思えるパンでも、塩バターパンくらい。あとは、パンの中に具材がゴロゴロと入っていたり、混ぜ込まれていたりするものばかりでした。
実は、ひとぱん工房では、バゲットやカンパーニュといったシンプルなハード系のパンは、好きな方が買いに来てくださる一方で、全体的には売れ行きが伸び悩むことがあります。「食事パンは家でどうやって食べたらいいかわからない」というお客様もいらっしゃるのかもしれません。
そんな時、アーティストベーカリーのパンを見て、「そっか、別にシンプルじゃなくてもいいんだ!」と、大きなヒントをもらえた気がしました。
もちろん、具材が強いと小麦粉本来の風味が少し弱まってしまうかもしれません。でも、バゲットに美味しい具材を挟んだり、ソースをかけたりして、「パンってこんなに美味しいんだ!」と感動してくださるお客様が増えるなら、それも一つの素敵な形だなと感じました。
お店全体がアート!コンセプトの一貫性に感動

このお店の魅力は、パンだけではありません。プロデューサーが同じということもあり、ロンドンベーグルミュージアムと同様に、お店のコンセプトが徹底されているんです。
店内の小物、スタッフの制服、お店全体の雰囲気…すべてに一貫性があります。
ロンドンベーグルミュージアムのキャラクターが馬だったのに対し、アーティストベーカリーはダックスフンドのような可愛い犬がキャラクター。その犬がマグカップや様々なグッズになっていて、ファンにはたまらないでしょうね。

店内には本棚が置かれ、その奥がガラス張りのキッチンになっているなど、空間全体が「アーティストのアトリエ」のような雰囲気。「アートで満たされた空間」というコンセプトがひしひしと伝わってきました。
パンも赤、黄色、緑と彩り豊かで、目で見て楽しく、買って、食べて美味しい。
そして、誰もが自由に写真を撮れる雰囲気なので、訪れたお客さんが次々とSNSに素敵な写真を投稿します。それを見た人が「こんなおしゃれな場所に行ってみたい!」と思い、また新しいお客さんを呼ぶ…。そんな素晴らしい循環が生まれているのだと感じました。
一度訪れたら、また来たくなる。パンの美味しさはもちろん、その空間全体の魅力が、多くの人を惹きつけているんですね。
2店舗目:Cafe Onion(カフェオニオン)- 伝統家屋で味わう、甘くて大きな幸せパン

次に訪れたのは、「Cafe Onion(カフェオニオン)」です。アーティストベーカリーが最新の作り込まれた空間だったのに対し、こちらは築100年を超える韓国の伝統家屋「韓屋(ハノク)」を改装した、とても趣のあるパン屋さんでした。
昔のお偉いさんが住んでいたお屋敷だったのでしょうか、平屋でありながら広々とした空間が印象的です。日本の古民家カフェとも似ていますが、また違った独特の雰囲気があります。
パンの種類は少数精鋭!でも満足度は大きい

店内に並ぶパンの種類は、10〜15種類ほど。約100種類のパンを焼いているひとぱん工房からすると、少なく感じました。韓国で個人経営されているパン屋さんは、このくらいの品揃えが一般的なのかもしれませんね。
でも、不思議と物足りなさは感じません。その理由は、パン一つ一つのサイズがとても大きいから!
一つでお腹いっぱいになってしまいそうなくらいボリュームがあるので、たくさんの種類がなくても十分に満足できるんです。
見たこともないデザイン!砂糖とクリームチーズがたっぷり

ここのパンは、デザインが本当にユニークで、日本ではまず見かけないような形をしています。
例えば、丸いパンに切れ込みを入れて、間にガーリックバターとクリームチーズをたっぷり挟んで焼いたパン(マヌルパン)。屋台でも見かけましたが、玉ねぎのような見た目が可愛らしい一品です。
そして、韓国のパンの特徴だと感じたのが、「甘さ」と「クリームチーズ」。
どのパンも、本当にお砂糖がたっぷり使われている印象です。そして、クリームチーズの使用量がとにかくすごい!「こんなに!?」と驚くほど、ふんだんに使われています。
私たちが食べたパンの一つは、ブラウニーのような濃厚なパンの上に、地球儀のようにこんもりとクリームチーズが乗っているものでした。見た目のインパクトもすごいですが、味もかなり濃厚!
クリームチーズ好きにはたまらないラインナップだと思います。これだけたっぷり入っていれば、少し値段が高くても納得してしまいますよね。
3店舗目:밀토스트집(Mil Toast House)- 路地裏に佇む蒸し食パンの専門店

安国エリアでは、もう一軒、気になっていたお店がありました。それが、「밀토스트집(ミルトースト)」です。
こちらは、小ぶりな山型の食パンをせいろで蒸して、ふわふわの蒸したてをジャムやバターと一緒にいただくスタイルのお店。
残念ながら、すでにお腹がいっぱいで店内に入ることはできなかったのですが、外からお店の雰囲気や内装を覗かせていただきました。
このミルトーストがある一帯の路地裏が、今回の旅行で一番おしゃれで心惹かれた場所かもしれません。
どこを切り取っても写真映えする、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだような街並み。お店の小さな窓辺には可愛らしくお花が飾られていて、ヨーロッパの田舎町のような雰囲気もあります。
一つ一つの店舗がおしゃれなだけでなく、街全体でこの美しい景観を作り上げていることに、とても感動しました。これは一つの店舗の努力だけではできないことですよね。

韓国のカフェ文化とコーヒートレンドにびっくり!
韓国の街を歩いていて気づいたのが、コーヒー屋さんの多さです。特に、「MEGA COFFEE(メガコーヒー)」というチェーン店は、今韓国ですごく流行っているそうで、常にお客さんで賑わっていました。
人気の秘密は、その大きさと安さ。スターバックスのグランデサイズよりも大きなコーヒーが、1杯300円〜350円ほどで提供されるんです。もちろん、味も美味しい!
お店にはタッチパネル式の注文機が何台も並んでいて、お客さんが次々とテイクアウトしていきます。若者だけでなく、サラリーマンや工事現場で働く方まで、あらゆる世代の人々が利用していました。
「薄利多売」とはまさにこのこと。コーヒーのように短時間で提供できるドリンクだからこそ成り立つビジネスモデルなのでしょう。
これだけコーヒー文化が根付いている国だからこそ、パンもコーヒーに負けないくらい、味がしっかりとした甘いものや、クリームチーズを使った濃厚なものが好まれるのかもしれない、と妙に納得してしまいました。
まとめ:韓国パン屋巡りで得た、ひとぱん工房への大きなヒント

今回の韓国研修旅行、特に安国エリアでのパン屋さん巡りは、私にとってたくさんの発見と学びがありました。
- 「食事パン」の新しい可能性: シンプルなバゲットが苦手な方にも楽しんでもらえるよう、ひとぱん工房でも具沢山なバゲットサンドもいいかも。
- コンセプトの重要性: パンの味はもちろん、お店の雰囲気、小物、キャラクターなど、全体を通して「ひとぱん工房らしさ」を伝えられるようなお店作りをしていきたいと改めて思いました。
- 「楽しい!」と感じてもらうこと: お客様に「美味しい」だけでなく、「見て楽しい」「選んで楽しい」と感じていただけるような、ワクワクするパンを生み出していきたいです。
韓国のパン屋さんの、常識にとらわれない自由な発想と、お客さんを楽しませようとするサービス精神に、大きな刺激を受けました。
この旅で得たたくさんのヒントを活かして、ひとぱん工房のパンをさらに美味しく、楽しいものにしていけるよう、これからも頑張ります!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。