パン屋の働きやすい職場環境づくりへの挑戦
- 移転オープンのご報告と感謝: 東松戸に移転してから1ヶ月。スタッフの素晴らしいチームワークに支えられ、無事に営業を続けています。
- パン業界の常識を覆す働き方改革: 長時間労働が当たり前のパン業界ですが、スタッフ全員が8時間でしっかり帰れるような工程の見直しを進めています。
- 柔軟なシフトと属人化の解消: 「休みたい時に休める」環境を作るため、特定のポジション(焼き・サンドイッチなど)に依存しない体制づくりを目指します。
- パン作りの難しさと連携の重要性: 発酵やオーブンのタイミングを合わせるため、スタッフ間の絶妙な連携が必要不可欠であることを解説します。
- 今後の展望: スタッフそれぞれの強みを活かしながら、より良いお店と職場環境作りのための挑戦を続けていきます。
東松戸への移転オープンから1ヶ月が経ちました
東松戸の新しい店舗へ移転してから、あっという間に1ヶ月が過ぎました。
オープン当初は予想以上の反響をいただき、本当にたくさんのお客様に足を運んでいただきました。
地域の皆様の温かい歓迎に、心から感謝の気持ちでいっぱいです。東松戸という新しい土地で、ファミリー層からご年配の方まで、幅広い世代の方々に私たちのパンを楽しんでいただけることをとても嬉しく思っています。
この1ヶ月間は、怒涛のような毎日でした。新しい厨房の設備に慣れること、新しいスタッフとの連携、そして何より毎日美味しいパンを安定して焼き上げること。目の前の業務に必死に取り組む中で、少しずつですがお店としての形が整ってきたように感じています。
今回のブログでは、オープンから1ヶ月経って見えてきたお店のリアルな現状と、これから改善していきたい課題について、少し赤裸々にお話ししてみようと思います。
パン屋の「当たり前」を変えたい!目指すは全員が8時間で帰れる職場
現在、私が一番の課題として感じており、今後本腰を入れて改善していきたいのが「スタッフの労働環境」です。
具体的には、パン作りの工程をもっとカチッとはめて、長時間労働をなくすことを目標にしています。
一般的に、パン屋さんの仕事というのは非常にハードです。
朝は誰よりも早く出勤して仕込みを始め、立ちっぱなしで重い粉を運び、熱いオーブンの前で作業をします。そして、他のお店で経験を積んできた正社員の方などによくある話なのですが、1日15時間くらい働いて、全ての作業を最後まで終わらせてから帰るというのが、半ば「当たり前」のようになっている業界でもあります。
しかし、私はひとぱん工房でその常識を踏襲するつもりはありません。
私自身もそうですが、働くスタッフの多くは家庭を持っていたり、子育て中であったりと、仕事以外の生活も大切にしたいと考えている方ばかりです。
だからこそ、「みんなが8時間勤務で、時間通りにしっかり帰れる」という環境をどうしても作りたいのです。
現状を正直にお話しすると、今はまだその理想には届いていません。
私自身が休憩なしで丸一日フル稼働して、なんとかギリギリお店が回っている状態です。
時にはスタッフのみんなに少し残業をお願いしてしまって、ようやく帰れるという日もあります。
みんなの頑張りに甘えてしまっている今の状況を、なんとかして打開しなければいけません。
そのために必要なのは、気合いや根性ではなく、「大変な作業を楽にする工夫」です。
効率よく作業が進む動線の確保、無駄を省いたタイムスケジュールの構築など、生産性を高めるための仕組みづくりが急務だと感じています。
「休みたい時に休める」シフトづくりへの高い壁
もう一つの大きな課題が、「休みたい時に休める」環境づくりです。
働く上で、お休みをしっかり取れることは心身の健康のために非常に重要です。
しかし現状では、スタッフから「この日にお休みが欲しい」という希望をもらっても、どうしてもシフトが回らなくなってしまう日があり、希望通りに組めない悔しさを感じています。
なぜ希望通りに休めないのか。
その最大の理由は「業務の属人化」にあります。
現在のお店では、「オーブンでパンを焼くポジション」「サンドイッチを作るポジション」など、ある程度担当が分かれています。
これ自体は効率的なのですが、問題は「その人がいないと、そのポジションが回らなくなる」という点です。
例えば、オーブン担当のスタッフが休んだ日には、途端にパンが焼けなくなってしまう危機に直面します。
この状況を解決するためには、スタッフ一人ひとりが複数のポジションをこなせるようになる、いわゆる「多能工化」が必要です。
もちろん、新しい仕事を覚えるには時間も労力もかかりますし、教える側の時間も確保しなければなりません。
今は目の前の業務をこなすことで精一杯ですが、長い目で見れば、みんなが色々なポジションを経験し、お互いをカバーし合えるチームになることが絶対に必要です。
「誰かが休んでも、他の人がサポートしていつものように美味しいパンが出せる」。
そんな強くてしなやかなチームを目指して、少しずつスタッフの育成にも力を入れていきたいと考えています。
パン作りは時間との戦い!発酵とオーブンのシビアな関係
パン作りの現場がどれだけ時間とタイミングに追われているか、少しだけ裏側をお話しさせてください。
パン作りは、ただ材料を混ぜて焼けばいいというものではありません。
生地には酵母という「生き物」が入っており、常に発酵が進んでいます。
捏ね上がった生地をそのまま放置しておくと、どんどん膨らんで「過発酵」という状態になり、酸味が出たり食感が悪くなったりして商品にならなくなってしまいます。
そのため、生地の準備ができたら、待ったなしで次々と成形(形を作ること)をしていかなければなりません。
そして成形が終わったパンは、最終発酵を経ていよいよオーブンへ入ります。
ここでも重要なのが「オーブンを空っぽにしないこと」です。
オーブンは一度に焼ける量が決まっていますから、次々とパンを焼き上げていかないと、お客様にお届けする商品が店頭に並びません。
つまり、「生地がベストな状態に発酵するタイミング」と「オーブンが空いて次のパンを入れられるタイミング」を完璧に合わせる必要があるのです。
誰かが遅れても、誰かが早すぎてもダメ。
スタッフ全員の作業がまるで精密な時計の歯車のようにカチッと噛み合って、初めて一つの商品としてお店に出すことができます。
理想は、常に淡々と、リズミカルにオーブンにパンが出入りしている状態です。
この連携をスムーズに行うためにも、先ほどお話しした工程の見直しやチームワークの向上が欠かせません。
未経験からの挑戦を支える、最高のチームワーク
ここまで課題ばかりをお話ししてしまいましたが、東松戸の新しい店舗をオープンしてからの1ヶ月を無事に乗り越えられたのは、間違いなくスタッフの皆さんの素晴らしいチームワークのおかげです。
実は、今回集まってくれたスタッフの中には、パン屋さんで働くのが初めてという「未経験」の方もたくさんいます。
最初は不安もあったと思いますが、いざオープンしてみると、皆さん本当に頼もしい存在でした。
パン作りの経験はなくても、これまでの人生で培ってきた別の経験やスキル、そして何より「良いお店にしたい」という熱意を持って仕事に取り組んでくれています。
ある人は細かい作業を丁寧に進めるのが得意だったり、ある人は全体を見て臨機応変に動くのが得意だったり。
それぞれが異なる能力を持っていて、足りない部分を自然と補い合える、そんな素敵な関係性が築けています。
私自身、スタッフ一人ひとりのポテンシャルの高さに毎日驚かされていますし、このメンバーだからこそ、今の「すごいお店」を作り上げられているのだと確信しています。
みんなが色々な能力を持ち寄り、支え合いながら成長していく過程を見ていると、これからひとぱん工房がもっともっと魅力的なお店になっていく未来がはっきりと想像できて楽しみです。
おわりに:さらなる改善に向けて
オープンからの1ヶ月は、目の前の壁を乗り越えることに必死でしたが、同時にこれからやるべきことが明確になった貴重な期間でもありました。
パンを焼き続けることはもちろんですが、それと同じくらい、ここで働くスタッフ全員が笑顔で、充実感を持って働ける環境を整えることが、店長である私の重要な使命です。
みんなで協力して業務を効率化し、お休みもしっかり取れて、プライベートも大切にできる。
そんな「新しいパン屋の働き方」を、この東松戸の地から実現していきたいと強く思っています。
そのためにも、今はまだまだ準備と改善の真っ最中です。
動画の最後でもお話ししていましたが、これからもより良い商品作りのために必要な道具を買いに行ったり、設備の配置を見直したりと、できることからコツコツと進めていきます。
これからも、お客様に喜んでいただけるパンをお届けできるよう、そしてスタッフにとっても最高の職場となるよう、チーム一丸となって頑張っていきます。
これからのひとぱん工房の成長を、ぜひ温かく見守っていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!





