【試作第3弾】理想のドーナツを求めて!ひとぱん工房の新作開発ストーリーと美味しさの秘密を大公開!
現在、お店の新しい仲間としてドーナツの開発を進めているのですが、先日その試作第3弾が形になりました。
前回の試作では食感に課題が残りましたが、今回は配合をガラッと見直し、特に粉の種類と水分量、そして新材料「ライススターチ」を加えたことで、理想の食感にぐっと近づきました!
目指すは、まるで専門店のような、ふわふわで口どけの良いイーストドーナツ。 まだまだ改良の余地はありますが、開発の様子やこだわりポイントご紹介します。
わくわく!新作ドーナツ開発中です!
皆さん、こんにちは!「ひとぱん工房」の店長ひとみです。
実は今、お店の新しい顔となるべく、ドーナツの開発に奮闘しているんです! お子様から大人まで、みんなが大好きなドーナツ。おやつにはもちろん、ちょっとした手土産にも喜ばれるような、そんなドーナツを目指しています。
先日、試作の第3弾が焼き上がりました。まだ開発途中ではありますが、今回はその様子を少しだけ皆さんにご紹介したいと思います。
今回は、見た目も可愛い丸型のドーナツ。 熱々のうちにフタをしてしまったので、表面のお砂糖が少し溶けてしまいましたが、ふっくらとした仕上がりになりました。
前回の反省をバネに!試作第3弾の挑戦
実は、ドーナツ作りは今回が3回目の挑戦。最初から完璧なものができるわけではなく、毎回頭を悩ませながら試行錯誤を繰り返しています。
前回の試作では、生地が少しもっさりとしてしまい、軽やかさが足りないのが課題でした。 「もっとこう、ふわっと軽い食感にしたいのに…」と、理想と現実のギャップに少し落ち込んだりもしました。その原因を探ってみると、どうやら粉の選択に改善の余地がありそうだと気づいたんです。前回は薄力粉をメインに使っていたのですが、それが少し重たさにつながっていたのかもしれません。
主な変更点は以下の3つです。
- 強力粉をメインに!
パン作りではおなじみの強力粉ですが、これをドーナツに使うことで、ふんわりとした弾力と、しっとりとした口どけが生まれることを期待しました。目指すはイーストドーナツ特有の、あの軽やかな食感です。 - 水分量の調整
粉の種類を変えると、最適な水分量も変わってきます。生地のまとまり具合や扱いやすさ、そして何よりも焼き上がりの食感に大きく影響するので、ここは慎重に調整しました。 - 秘密兵器「ライススターチ」の投入!
そして今回、特に試してみたかったのが「ライススターチ」です。以前、コッタさんのイベントで見かけた「ファインスノウ」という商品なのですが、これはお米から作られたでんぷんなんです。これを生地に5%ほど加えることで、しっとり感がアップしたり、パンの劣化を遅らせる効果が期待できると言われています。手作りパンは、どうしても翌日になると少しパサつきが気になることがありますが、このライススターチがその悩みを少しでも解決してくれたら嬉しいな、という想いで加えてみました。
これらの変更が吉と出るか…ドキドキしながら焼き上がりを待ちました。
ドキドキの試食タイム!気になるお味は…?
さて、いよいよ焼きあがったドーナツの試食です!
見た目は、ふっくらとした丸い形。 焼きドーナツなので、揚げドーナツよりもヘルシーなのも嬉しいポイントです。
一口食べてみると…「うん、これは美味しい!」。
前回のもっさりとした感じはなくなり、ふわっとしながらも、適度な弾力が感じられます。強力粉に変えた効果がしっかりと出ていますね。
ジャム兄にも試食してもらったのですが、「前回のとは全然違う!ちゃんとドーナツらしい生地感になってる!」「ミスタードーナツのエンゼルクリームの生地に近いかも!」と、嬉しい声が上がりました。 良かった~!
外側にまぶした粉糖の優しい甘さが、生地の風味を引き立ててくれていて、全体のバランスもすごく良くなったと感じます。 最初は「パンっぽすぎるかな?」という心配もあったのですが、しっかり「ドーナツ」の領域にとどまってくれた、という感じでしょうか。 まさに、パン屋さんが作る美味しい「パンドーナツ」といった仕上がりです。
「ライススターチ」って何?期待できる効果を深掘り!
今回の試作で加えた「ライススターチ」。 あまり聞き慣れない材料かもしれませんが、実はパンやお菓子作りの世界では、食感を良くしたり、品質を保つために使われることがあるんです。
ライススターチとは、その名の通りお米から抽出されたでんぷんのこと。 米粉とはまた少し異なり、でんぷん質だけを取り出したものです。
では、このライススターチを加えることで、具体的にどんな良いことがあるのでしょうか?
- しっとり、もっちり食感の向上
ライススターチは保水性に優れているため、生地中の水分をしっかりと抱き込み、しっとりとした食感を持続させる効果が期待できます。また、種類によってはもっちりとした弾力を与えてくれるものもあります。今回のドーナツが目指す「ふわふわしっとり」には、まさにぴったりの素材かもしれません。 - 老化の抑制(パサつきにくくなる)
パンやドーナツが時間が経つと硬くなったりパサついたりするのは、主にでんぷんの「老化」が原因です。ライススターチは、このでんぷんの老化を遅らせる働きがあると言われています。 これにより、美味しい状態が長持ちしやすくなるのです。私たちのようなパン屋にとって、お客様に少しでも長く美味しく召し上がっていただきたい、というのは常に考えていることなので、この効果は非常に魅力的です。 - 作業性の改善
生地のべたつきを抑えたり、成形しやすくしたりといった、作業性を改善する効果も期待できる場合があります。
今回は「ファインスノウ」という商品名のライススターチを使用しましたが、これを5%添加したことで、確かに生地のしっとり感が増したように感じています。 翌日以降の食感の変化については、これからじっくり検証していきたいと思っています。
美味しさの秘密は「強力粉」への転換と「絶妙な配合バランス」
今回の試作で、食感が大きく改善された一番の要因は、やはり薄力粉から強力粉へとメインの粉を変えたことでしょう。
一般的に、お菓子作りには薄力粉、パン作りには強力粉が使われることが多いですよね。
薄力粉はグルテンの量が少ないため、サクサクとした軽い食感や、ふんわりと口溶けの良いスポンジなどを作るのに適しています。
一方、強力粉はグルテンの量が多く、パン生地のような弾力とボリューム感、そしてモチモチとした食感を生み出します。
前回の試作では、薄力粉をメインにしたことで、ドーナツというよりも少し「お菓子寄り」、悪く言えば「スコーンのようなもっさり感」が出てしまいました。 それはそれで素朴な美味しさもあるのですが、私たちが目指す「ふわふわのイーストドーナツ」とは少し方向性が異なっていたのです。
そこで今回は、強力粉を主体にすることで、パンのようなしっかりとした骨格と、イーストによる発酵の力を最大限に活かした、軽やかで弾力のある生地を目指しました。 結果として、これが大成功!「うん、これぞドーナツ!」と思える食感に近づけることができました。
もちろん、ただ強力粉を使えば良いというわけではありません。水分量や他の材料とのバランスも非常に重要です。水分が少なすぎればパサついた仕上がりになりますし、多すぎれば生地が扱いにくくなってしまいます。今回は、強力粉の特性に合わせて水分量も見直し、しっとり感を保ちつつ、ふわっと軽い食感になるよう微調整を重ねました。
この「粉選び」と「配合バランス」の探求が、理想のドーナツ作りには欠かせないポイントだと改めて実感しました。
さらなる高みへ!今後の課題と夢
試作第3弾で、目標とする食感に大きく近づくことができましたが、まだまだこれで完成ではありません!お客様に自信を持ってお届けするためには、いくつかクリアしたい課題があります。
- 翌日の食感はどう変わる?劣化の検証
手作りパンの宿命とも言えるのが、時間の経過とともにどうしても出てきてしまうパサつき。 今回、ライススターチを加えたことで、どれくらい劣化を遅らせることができるのか、しっかりと検証していきたいと思っています。 焼きたてが美味しいのはもちろんですが、ご家庭で翌日召し上がっていただく際にも、「美味しい!」と思っていただけるような品質を目指したいです。 - 究極の口どけを求めて…クリームは入れる?入れない?
試食の際、ジャム兄から「これにホイップクリームが入ったら、絶対に美味しい!」という意見が出ました。 私も同感で、ふわふわの生地に軽やかなホイップクリーム…想像しただけで幸せな気持ちになりますよね。あの乳のうまみとコクが加われば、さらにリッチな味わいになることは間違いありません。
ただ、生クリームを使うとなると、常温での販売が難しくなってしまうのが悩ましいところ。 植物性油脂を使ったホイップクリームという選択肢もありますが、やはり風味や口どけを考えると、できれば動物性のものを使いたい…。ショーケースで冷蔵販売するとなると、今度はパン生地が硬くなってしまう可能性も出てきます。
お客様にご注文いただいてから、その場でクリームを絞る、というのも一つの手かもしれませんね。 手間はかかりますが、出来立ての美味しさをお届けできるのは魅力的です。このあたりは、オペレーションも含めてじっくり検討していきたいポイントです。 - 見た目も大切!可愛らしい陳列
ドーナツは、その可愛らしい見た目も魅力の一つ。お客様がショーケースを見たときに、「わぁ、美味しそう!」と思っていただけるような、魅力的な陳列も工夫したいところです。クリーム入りの場合、どのように陳列するのがベストなのか、こちらも今後の課題ですね。
とはいえ、今回の試作で完成度は80%くらいまで来たかな?という手応えを感じています。 あと一歩、いや、もう二歩くらいかもしれませんが、理想のドーナツをお届けできる日まで、楽しみながら開発を進めていきたいと思います!
お客様にお届けできる日を夢見て
今回は、開発中の新作ドーナツの試作について、少し詳しくお話しさせていただきました。
一つのパン、一つのドーナツが店頭に並ぶまでには、こうして何度も試作を繰り返し、たくさんの試行錯誤があります。大変なこともありますが、お客様の「美味しい!」という笑顔を思い浮かべると、自然と力が湧いてくるから不思議です。
このドーナツが、いつか「ひとぱん工房」の人気商品として、皆さまの日常にささやかな幸せをお届けできるよう、これからも愛情を込めて開発を続けてまいります。
まだ少しお時間はいただくかもしれませんが、ぜひ楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!
そして、お店で見かけた際には、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも「ひとぱん工房」をどうぞよろしくお願いいたします。