ライ麦サワー種の失敗談から学ぶ!天然酵母パンづくりの深い魅力
要約
こんにちは、ひとぱん工房の店長です。今回はライ麦サワー種に挑戦してみたものの、途中でうまく発酵が進まずに失敗してしまいました。ですが、その失敗をきっかけに新しいパンの味わいや活用方法に気づくことができたんです。国産小麦や天然酵母にこだわったパン作りを通して感じた、酸味と旨味の魅力。さらに、育て方やおうちで楽しむコツなどもまとめています。失敗を糧にして得られたアイデアや工夫を、みなさんのご家庭でもぜひ試してみてくださいね。
はじめに
改めまして、ひとぱん工房の店長、私(ひとみ)です。お店では100%国産小麦と天然酵母を使ったパン作りを大切にしています。今回、私自身が初めて挑戦してみたのがライ麦サワー種。ところが、意気揚々とスタートしたものの、5日目で発酵がピタッと止まるというトラブルに見舞われ、見事に失敗してしまいました。
しかしこの経験から、「サワー種ってそもそもどういうものなのか」「なぜライ麦で種を起こすと酸味が強くなるのか」など、より深くパン作りを学べたんです。失敗を挟みつつも、最終的に試し焼きしてみたパンの味わいは新鮮で、イーストだけでは出ない複雑な酸味とコクを楽しめました。ここでは、私の失敗談や途中で感じたこと、そしてうまくいかなかったときにどう対処したかなどをお話しします。
国産小麦と天然酵母へのこだわり
私のお店では、国産小麦を100%使うことにこだわっています。なぜかというと、小麦の香りや風味をよりダイレクトに感じられるからなんです。北海道の小麦など、地域によっても味わいや香りが微妙に違うので、その違いを生かしたパンを作るときには、必然的に小麦選びから気を配ります。
さらに、天然酵母を使うパン作りには、とても奥深い魅力があります。私が行くパン屋さんの中でも、国産小麦×天然酵母で作られたパンは特に優しい味がするんですね。甘さや油分に頼り過ぎず、小麦そのものの香りを大事にすることで、素材本来の風味を堪能できるパンに仕上がるのです。
先日、私がお客様から教えていただいて訪ねた「さくら」というパン屋さんも、国産小麦と天然酵母にこだわっていました。お店の方が「北海道の江別産の小麦を使っていますよ」と教えてくださったのが印象的で、まさに同じ志向を持つパン屋さんだと感じたんです。「天然酵母のパンドミー」という看板商品は、遠方からも買いに来る方がいるほど人気だそうで、ふんわりしつつも小麦本来の優しい風味が広がる、素朴で豊かな味わいでした。
ライ麦サワー種失敗の顛末
今回、私が挑戦したのはライ麦サワー種。小麦よりも繊細と言われるライ麦で発酵させると、深い酸味と複雑なコクが出やすいと聞いて、ずっと試してみたいと思っていたんです。やり方としては、水とライ麦粉を混ぜた状態を「元種(原種)」として育てつつ、毎日少しずつ粉と水を足して、ブクブクした発酵状態をキープしていくという流れになります。
最初は順調で、「途中までモコモコしてたのにある時シーンってしてて、死んだかも」と感じるまでは、「良い感じにいってる!」と思っていたんです。ところが、5日目で発酵がストップし、ガスがまったく出なくなってしまいました。24時間放置しても、まったく変化なし。嫌な予感がして、そのまま2日ほど置いてみたところ、表面にカビが生え始めてしまったんです。
ライ麦に付着している乳酸菌や酵母が失活してしまい、いわゆるサワー種の育成が失敗に終わった瞬間でした。原因は諸説考えられますが、気温や雑菌の混入、あるいは水の硬度やライ麦粉の質など、さまざまな要素が絡んでいたのだと思います。
失敗を糧にしたアレンジパン
失敗したとはいえ、種を仕込み続けた過程で出る廃棄液(いわゆる「捨て種」)を、なんとなくもったいなくて取っておいたんですね。そこで、この液体を少し使いつつ、完全にイーストを使わないとパンが膨らまないかもと思い、イーストを少量だけ足した生地を試しに焼いてみました。これが意外と美味しくて驚きました!
生地には微量のイーストをプラスしてあるので、立ち上がり自体はイースト特有の安定したものを感じました。「イーストにはない酸味があって、ヨーグルトみたいな感じ」という表現がピッタリな酸味が残り、食べてみると不思議な旨味が口いっぱいに広がります。ライ麦パン特有の噛みしめるほどに増すコクや、酸味のおかげであとを引く美味しさがありました。
生地自体は少しハード系寄りで、外側のクラストはしっかり噛み応えのある硬さ。中は水分が保たれ、もっちり感も上々。サワー種ならではの酸味とイーストの協力による膨らみが、ちょうどいいバランスに落ち着いたんです。完成後に改めて食べてみると、「イーストだけのパンでは出せない複雑な旨味」があることを実感しました。
ライ麦サワー種と相性の良い食材
サワー種によるライ麦パンは、そのままだと酸味が際立ちます。苦手な方は「ちょっと酸っぱすぎるかも」と感じるかもしれません。ただし、ここにチーズやお肉、アボカドなどを組み合わせると、すごく相性が良いんです。たとえば、私はスライスしたライ麦パンに卵サラダや鶏ハム、さらにアボカドなんかも乗せて食べましたが、酸味がかえって旨味に変わるような不思議な相乗効果を楽しめました。
特におすすめなのはチーズとの組み合わせ。酸味と塩味がうまく融合し、濃厚なコクをより一層引き立ててくれます。食べ方の例としては、薄めにスライスしてオープンサンド風に仕上げたり、サンドイッチの具材を少し濃い味付けにしてみたり。ライ麦サワー種由来の酸味が良いアクセントになり、むしろ料理が引き締まる感じになります。
サワー種パンをおうちで楽しむコツ
1. 温度管理に気をつける
ライ麦の発酵は小麦に比べてやや繊細です。気温が低すぎたり、高すぎたりすると菌の働きが弱まったり死滅しやすくなります。室内で一定の温度を保ちにくい場合は、オーブンの発酵機能を使ったり、発泡スチロール箱にお湯を入れた容器を一緒に入れて温度をコントロールするのも効果的です。
2. 水質や粉の選択
ライ麦サワー種を起こすときは、なるべく硬度が低めの軟水が無難だと言われています。またライ麦粉も、あまり粗すぎる全粒のタイプではなく、中挽きくらいのものを選ぶなど、いろいろ試しながら自分の手に合う粉を探すのがおすすめです。
3. こまめな観察とお世話
本来のサワー種づくりは、毎日少しずつ粉と水を足して、発酵具合をチェックしつつ育てます。少しでも変な臭いがしたり、成長が停滞してしまったら一旦中断も検討してください。私が今回やってしまったように、2日間放置している間にカビが生えてしまうと、リカバリーが難しくなる場合が多いです。
4. 失敗から生まれるアイデアを試す
上手くいかない場合でも、イーストを少し使ったり、廃棄予定の種を別のパンやお菓子づくりに転用したりと、活用法はたくさんあります。サワー種そのものはダメになっても、そこから生まれる独特の風味が意外なレシピで生きることもあるので、ぜひ実験的に使ってみるのもいいですよ。
まとめ
今回、私はライ麦サワー種の挑戦で失敗を経験しました。途中まではうまくいっていたのに、ふとしたタイミングで発酵が止まり、カビまで生えてしまい本当に落ち込みました。でも、その過程で捨てきれずにとっておいた廃棄液が、イーストを少しだけ足すことで、酸味と旨味のある美味しいライ麦パンに化けるという発見があったのです。
国産小麦と天然酵母にこだわる私にとって、こうした試行錯誤はパン作りの醍醐味でもあります。イーストのみで作るパンの安定感も大切ですが、サワー種にはサワー種ならではの味や香りがあり、それらが私たちの味覚に新たな刺激を与えてくれます。たとえ失敗しても、何かしらの気づきが得られるのが発酵という不思議な世界。ぜひみなさんも、私の失敗談を参考にしつつ、ライ麦サワー種や天然酵母パンの奥深さを味わってみてくださいね。
これからも新しいパン作りに挑戦しながら、お客様やご家庭での食卓に笑顔と美味しさを届けられるよう、私自身も日々勉強していきたいと思います。もしライ麦サワー種がうまく育てられたら、さらにライ麦100%の本格サワーブレッドにも挑戦するつもりです。どうぞお楽しみに!