後悔の話

今年も残すところあと数日ですね。
年末が近づくと、どうしてもいろいろなことを振り返りたくなります。
そんな中で、今日は「後悔」について、私の感じたことを書いてみたいと思います。
20代の頃、私はよく後悔をしていました。
「あのとき、もっと思い切って行動していたら」「違う選択をしていたら」――
そんな思いが頭の中をぐるぐると巡り、立ち止まることがよくありました。
特に、夜ひとりになったときにその気持ちは大きくなり、心が重たくなってしまうこともありました。
後悔って、本当に不思議な感情ですよね。
ある出来事を過去に置き去りにしているはずなのに、まるで幽霊のように何度も現れては、心に静かに問いかけてきます。
「本当にこれでよかったの?」と。
そんな20代後半のある日、私は一冊の本に出会いました。
その本に書かれていた言葉が、今でも心に残っています。
「後悔とは、未来がわからない中で最善を尽くして選んだ結果に、後から別の可能性を知ることで生まれる感情だ。
つまり、後悔はその時点での自分を否定するものではない。その時、その状況で、あなたは間違いなくベストを尽くしたのだ。」
初めてその文章を読んだとき、頭を殴られたような衝撃を受けました。
「本当にそうだ」と思ったんです。
過去の選択を後悔するのは、まるで学校のテストで答案用紙を返されたときに、「ああ、正解を書いていればよかった」と嘆くようなもの。
でも、テストの最中は、自分が持っていた知識を総動員して書いた答えなんですよね。
その瞬間にできることを、私はすべてやった。
だから、それは紛れもなく「最善の選択」だったんです。
この考え方に出会ったとき、私の心は少し軽くなりました。
過去に振り回されるのではなく、これから先どうしたらもっとよくなるかを考えればいいんだ、と気づいたんです。
たとえば、パン作りだってそうです。
新しいレシピに挑戦して、思ったように焼き上がらないことがあっても、それはそのときの自分の全力の結果なんです。
そして、その失敗から学んで次はどうするかを考えればいい。
そう思えば、失敗も後悔もすべて前に進むための一歩に変わります。
今年ももうすぐ終わりますが、振り返って「もしあのときこうしていたら」と思うことがあっても、それはその瞬間に私ができるすべてを尽くした結果だと思っています。
大切なのは、そこから何を学び、どう次に活かすか。
それが、来年の自分をもっと成長させる鍵になるのではないでしょうか。
暖かなパンの香りに包まれながら、そんなことを考える冬の朝。
もしあなたも「後悔」という感情で立ち止まっているのなら、どうかその思いをそっと手放してみてください。
きっと、心が少し軽くなるはずです。