パン屋さん開業時の資金と失敗談を公開
ジャム兄:オープンの時は、だいたい運転資金はどれぐらいを確保していたの?
ひとみ店長:ひとぱん工房の運転資金は、売上ゼロでも半年は営業できる計算で資金を確保していました。
初期投資とは別に半年分です。
初期投資とは、最初の準備でかかる資金のことです。
実際数字にして出費していくと、想像以上のお金がかかる感覚になります。
これは、やってみてわかることですね。
パン屋さん開業時のトラブルと諸経費
まず、家賃は事業で借りるならば、約半年分を先払いします。
オーナーは、事業主を基本的には疑いまくってますので(汗)
家賃の半年分を最初に請求してきますし、さらに保証人を要求して、さらに家賃保証会社に契約するよう言ってきます。
保険に保険を重ねて、家主はようやく「貸します」と言ってくれます。
居住家賃だと、給料額が重要になってきますが、経営は頑張って出勤しても、お給料はどうなるかわかりませんので、シビアにならざるを得ないんですね。
そして、仲介手数料も1ヶ月分、敷金礼金も別、火災保険も必須です。
毎月の家賃が大きかったら、これらを合計すると150万から300万ぐらい最初に手元から消えます。
これは家賃だけの話なので、設備、内装、外装、その他細かな雑費など、プラスで必要になってきます。
パン屋さんは、オーブンとかミキサーが高いので、設備費が高くなりがちですね。
中古のオーブンだけでも100万円ちょっとしました。
オーブン
陳列スペースに対して、どれだけ生産するのかが分かれば、オーブンの容量も決まってきます。
大きな買い物なので、失敗はしたくないですが、ひとぱん工房では、10坪で6取り天板2枚差し2段っていう中サイズのオーブンを購入しました。
ホイロ(発酵室)が下についたものなので、ホイロを別に買う必要はなかったです。
普通のパン屋さんからしたら、小さくて効率悪そう、と思われるくらいのサイズなんですが、工夫に工夫を重ね、いまだにうまく回して使ってます。
ミキサー
ミキサーは、3Kgの粉がマックスくらいの中サイズミキサーを買ったのですが、1年半くらいで壊れました。
スコーンというちょっと固めの生地を無理して回したら、中の金属がなめた、というのが原因なので、規模的にまだ使えたら使ってたかもしれませんが、30クオートの大きなミキサーに変えたら、1回1回の生地が重いのはありますが、効率がすごいよく、中型オーブンでもうまく回せているので、ミキサーは大きめ(縦型)がおすすめです。
機材は最初に大きな買い物をするよりも、生産量が追いつかない、となった時に変えればいいと思います。
最初から200万も300万もする大きく立派な機材を揃えて、いざ集客が弱くて生産量がそこまで多くない、となったら、宝の持ち腐れとなってしまいます。使った期間劣化するのは、大きくても小さくても同じです。
内装費
内装費というのが結構予想を上回ってしまうっていうことが多いみたいです。
機材だったら、結構下調べして見積もりを取り、これぐらいだなっていう予想はできるんですけど、この内装費は何かイメージと違ったとか、実際見てみたけど計画してたのじゃダメ、別のが必要ですなど後に変更が結構出たりします。
ジャム兄:ひとぱん工房だとどんな予想外な内装費が上がったの?
ひとぱん工房の場合は、店舗の立地が水はけの悪い場所だって知らなかったんですよ。
土間を解体する予定ではなかったのですが、土間下に入ってみたら、木が腐っていたので、解体するしかなくなりました。

予算オーバーだったので、父親と私で解体しましたが(普通は無理)廃材が出ますので、処理費はかかりました。
土間下に、以前のゴミもあったり、見えなかった場所に、崩しかけの階段があったりして、コンクリート廃材のゴミ処理費も加算されました。
土間解体後に専門業者に頼んでコンクリートを流したら流したで、水はけが悪くて湿度による腐敗、機器への影響とかもありました。
作業場の床のコンクリートが変なシミだらけになって、仕方なくクッションシートを全面貼ってもらいました。
これも予想外の出費ですね。
他にも、「動力電源は来てるから大丈夫」と電気屋さんに言われたけど、工事してみたら、オーブンのkwに対して太さが足りないとなったり。また出費。
中間のドアを使いたかったけど、オーブンを通せるようにした方がいい、ということで、親子ドアを購入したり。また出費。
内装工事は、本当にやり進めないと、わからないものですね。
外装費
ひとぱん工房は、内装、設備にお金がかかりすぎていたので、外装は床、クロスの張り替え以外は、全部自分でDIYしました。
以前の店舗で使っていたプラスチックテントが、イタリア国旗の色で、これを全面換えるのに、100万円すると言われてさすがに諦めました。
どうすれば理想に近づくかを、プライドを捨ててプロの方に相談しまくりました。
ひとぱん工房のテントは、茶色のUVに強いシートを貼って、ハメ直すことで予算内にしました。
今でも裏からみたら、イタリア国旗の色が見えます。(笑)
完璧もいいけど、妥協からのスタートで、軌道にのれば投資していくことがいいと強く思います。
内装業者と近隣のトラブル
あとは、資金面の話ではないですが、業者さんとの相性とかトラブルもあります。
知り合いで良い人を知っていたらいいと思うんですけど、だいたいツテもないまま始めるわけですよね。
なので、運が悪いとひどい業者さんに当たったりすると大変です。
この話は、よく聞きます。
うちの場合は、近隣の方からクレームがくるような業者さんに当たってしまい、いろいろ大変でした。
工事が終われば、その業者さんにとって近隣とのトラブル関係なく、結局お店が最悪な印象からスタートすることになるんですね。
店舗側は近隣の人の信頼を取り戻さないといけないというところから始まります。
オープンすると今度は駐車のトラブルで近隣の人とのトラブルになり、ここで店舗経営は難しいのでは?と、一時期、店舗閉店まで考えました。
まぁ、ともあれ、なんとか3年半やることができました。
ひとぱん工房はオープンした時と今の工房は、改善した結果、大きく変わりました。
いきなり完璧を目指さずに少しずつ少しずつ、最初にお客様に満足してもらう最低ラインのレベルをクリアしてたらいいと思うんですよね。
これからパン屋さんをやる人には、参考にしてもらえればいいですし、聞きたいことがあれば、わかる範囲で答えますのでコメントください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。