パン屋の労働環境はブラックなのか?現役パン屋が答える

hitopan

今回は現役のパン屋さんひとぱん工房の店長「ひとみ店長」が質問に答えます。というコーナーですね。
では質問です。

パンをこねる、生地をこねるのって、手が疲れませんか?

質問ありがとうございます。
確かにグルテンをしっかり形成するのに、ある程度の力がパン生地に加わらないといけないので、力は必要です。
今は手ごねでは、ほとんどのパン屋作ってないんじゃないかなって思っております。
つまり機械を使っているということですか?
はい、そうです。機械を使ってます。
ひとぱん工房YouTubeの中でも作業風景の動画をあげてまして、それを見てもらえばわかると思います。
ミキサーっていう粉を混ぜてくれる機械があるよね。
そうですね。メーカーや型は違えど、あの機械でこねているお店がほとんどです。

国産小麦と外国産小麦でこねる力加減とかも大きく変わってくるのかなって私は思うんですよね。
より力をこねて「バッタンバッタン」パワーをつけることで膨らむのが外国産小麦。
国産小麦は、そこまでこねないけれども最低減こねて、発酵で繋いでいく感じです。
グルテンがゆっくりと繋がって膨らんでいくイメージ。
強くこねると逆にグルテンが壊れちゃうんです。

なのでやっぱり外国産小麦より国産小麦の方は膨らみはちょっと弱いですね。

でも世の中には手の感覚を大切にしていて、生地を手でこねているお店もあると思います。
外国産小麦に大量の手ごねは向いてないので、多分国産小麦のパン屋さんだと思います。
質問への答えとしては、機械なので疲れないですね。
できたこの何十キロもある生地を運んだり、箱に移したりとか、そういう時にちょっとこう、力入ります。
もちろん手ごねも技術的にはできるんですけども、そうすると量が半端ないですからね。
パンの販売数が大きく減ることになりますね。

パン屋さんの仕事ってキツイですか?

次は、パン屋さんの仕事ってキツイですか?ストレートな質問です。

質問ありがとうございます。
結論から言いますと、きついですね(笑)
重労働で長時間。
25キロの粉を運ぶとかね(笑)
あと低賃金で…みたいなことを過去言ったのですが、それは私が修行してた15年前くらいの話なので、今の社会では結構ホワイト化が進んでいるので、そんなことはないかもしれません。
超超超ブラックだとやっていくのは大変なのかな、なんて思われると思うんですが、やりがいがありますので楽しく働けてました。

ただ、体には良くない状況でした。
睡眠時間も3時間とか、4時間取れたらいい方で、お昼休憩は1日のうち20分ぐらい。
お腹ぺこぺこなんで、ご飯かき込んでました。
1日16時間〜17時間ぐらいの労働時間でした。
当然その時間をずっと立ちながら作業するわけですよね?
そうです、立ち続けて動き続けてるので、靴が1年で7足ぐらいダメになりました(笑)
魚の目とか片足に5個ぐらいできて、どうしようってぐらい痛かったとか思い出があります。
いい勲章ですね(笑)
労働基準的には1日8時間でしょ?
そうですが、当時は内部告発する人も少なかったと思いますし、監査が入ったとか、ペナルティ受けたとかみたことないですね。

働くことが好きであれば続けられますけど、体が丈夫でないと無理だし、働くことが苦痛になれば続けることはできないと思います。
ただ最初に働いてたフレンチレストランもそうでしたけど、
労働時間に関してはパン屋だけでなく、飲食店全般が守るのは難しいと思います。
お店側視点の話になっちゃいますが、人件費が一番高くつくので、長く働いてもらえないと利益が出にくいです。
内部告発でバレるとかいうのもありますが、そもそも技術を学びたくて働いているというのが前提なので、教えてもらいたいなら頑張ります!という感じの世界です。(スパルタですね。汗)
働き方おかしいですよ!なんて言ったら、じゃあ、辞めてもらっていいですよ!っていう話になっちゃいます。

どんな条件でも続けた人が得れるものがその先にある!みたいな。
なんか、壮絶なRPGみたいな話だな(汗)
そうですね。
でも板前さんとか、一番厳しいと聞いたことがあります。
住み込みで修行するとか言うよね。
お給料はほとんどなく、住み込みで衣食住の面倒見てもらいながら家族のように働く。
焼き場3年とか言ったりするじゃないですか。
今は本当にホワイトな企業さんもありますし、もうそんな働き方は現代にはないのかもしれません。

飲食業界はブラック

私の経験では、パン屋さんじゃないんですけど、フレンチレストランが一番大変でした。
パン屋さんはまだマシでした。
フレンチの方がもっと厳しかった。
毎日毎日シェフと先輩に否定され続ける、というメンタル面も厳しかったですし、1日16時間以上働いても月収12万とかでやってましたよ。
1ヶ月の賄い代、16,000円に納めれなかったら自腹で賄い代を買ってました。
若さで頑張れたんですけど、今訴えたら裁判勝てそうですね(笑)
でも下の階にあったお菓子屋さんはさらにヤバそうでした…。
え!まだやばいとこあるの?
フレンチに出勤する時にはもう働いてて、帰るときはまだやってました。収入とかは知らないけど。
絶対パテシエだけにはならん!って誓いました。(苦笑)
パン屋さんは、好きだから頑張れましたね。

大手パン屋さんにも勤めましたけど、本当にホワイトですよ。
しっかり労働時間も決まってますし、早朝手当、残業代もついたりとかしっかりされてて、感動したのを覚えています。(それが当たり前なのでしょうが。汗)

まとめ

やりがいと、どのような目標を持って取り組むか、ということですね。
そうですね。
ちなみにひとぱん工房はブラックですか?
ブラックではないです!!(笑)
ただ、私がそういう環境にいて平気でやってたっていうのもありますけど、
私もやってきたんだから、あなたもやれるよね?というのはおかしな話です。
生活できても貯金できないは違うし、修行時代の自分を思い出しながら、私の理想で働き方を決めています。

たくさん技術を教えてくださった過去のシェフ達。
それぞれのシェフを否定するつもりは全くないですね。
素晴らしいシェフばかりだったなぁ~と思いますね。
厳しい体験も含めて。
その経験が、今の事業に大いに役立っています。
ありがとうございます。

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ひとぱん工房の冷凍便

オンラインショップでは、店舗でしか味わえなかった手作りパンを「冷凍」でお届けいたします。
冷凍だからこそ、風味を極力逃さずに遠方の方でも焼きたてのような味わいをそのままにお楽しみいただけます。
お好きな時にオーブンやトースターで温めれば、国産小麦が香るふんわり食感をお家で再現可能です。

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ひとぱん工房
ひとぱん工房
国産小麦100%のパン屋
国産小麦100%にこだわり、熊本と北海道から厳選した小麦を使用する「ひとぱん工房」は、毎週土曜と日曜日のみオープンする手作りパンのお店です。東京や大阪の有名店で10年以上修行を積んだ女性店長が、香り高い素材を引き立てるこだわりの製法で丁寧に焼き上げています。砂糖はミネラル豊富な鹿児島県産の粗糖、塩には沖縄県産のシママースを使用し、素材の旨みを最大限に引き出したパンをお届けします。小麦の豊かな風味とふんわりとした食感が特徴で、どれも素材本来の味わいを存分に感じられると思います。
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